子どものタバコ被曝を防ぐため、保育士には喫煙者を雇用していない、保育園経営者の駒崎です。
受動喫煙防止法が危機に
オリンピックを控えて、厚労省は諸外国の水準に追いつこうと、屋内禁煙を掲げる通称「受動喫煙防止法」を通そうとしています。
それに対し、自民党たばこ議連は「すべての飲食店で喫煙可能に」という、真逆の対案を出し、受動喫煙防止法を闇に葬ろうとしています。
暗黒時代来たる!! 驕れる自民党、まさかの「全ての飲食店で喫煙可能に」方針に!!(永江一石のITマーケティング日記)
年間1万5000人も受動喫煙で死者が出ていて、年間3000億円も余計な医療費がかかっていて、全面禁煙にはたばこ税の減収引いても4兆円の経済効果があるにもかかわらず、さらに分煙には健康被害を防ぐ効果は全くないというのに、それを思いっきり無視して喫煙天国への階段を駆け上ろうというわけです。
当然、僕が住む東京都も、都議会多数派は自民党です。国と同様、受動喫煙についても、どうでも良いわけです。
ああ、日本終わったわ、と凹んでいたところ、意外な展開が・・・。
小池知事の禁煙条例発言
昨日5月10日に、小池東京都知事がBSフジのプライムニュースに出て、「都民ファーストの会としての公約をつくっているところだが、基本的には厚労省案に近い。明確に、分煙では不十分で、屋内禁煙を原則としていく(ことを考えている)」というサプライズ発言をしたということなのです。
喫煙に甘~い都議会自民党では、禁煙条例制定は不可能。受動喫煙防止対策は、都議選の重要争点になりえる(おときた駿ブログ)
これは、すごい。
たとえ自民党たばこ議連が受動喫煙防止法を葬り、「すべての飲食店で喫煙可能に」したところで、東京都が禁煙条例を制定すれば、東京都においては屋内禁煙が実現するわけです。
国がダメでも、都があるよ、と。
都議選の争点は、受動喫煙
これは7月2日に迫る都議選の、何よりの争点になるのではないでしょうか。
憲法改正も共謀罪も国マターだから、東京都は関係ありません。築地市場移転も普通の都民にはあんまり関係ありません。
しかし受動喫煙は、ほぼすべての都民の日常生活を変える破壊力があるテーマです。
行ってきます、と子どもを保育園に送ろうと家を出たら、歩きタバコが子どもの目の高さで危ない思いをする。
コンビニに寄ったら、入り口に灰皿が置かれていて、タバコの匂いを嗅がないと中には入れない。
カフェに入ったら、スペースを分けただけの意味のない分煙で、煙い思いをする。
歓送迎会で飲み屋に行ったら、モクモクしていて、妊婦さんは辛い思いをする。
こうした、我々の日常生活に密着したテーマこそ、地方議会選挙では問われるべきではないでしょうか。そして、東京が日本のあるべき未来を体現する存在であってほしいわけです。
受動喫煙、YESかNOか
小泉純一郎的に言うならば、「受動喫煙、YESかNOか」です。
自民党は、受動喫煙で年間1万5000人が死のうが、赤ちゃんの突然死が8倍になろうが、別に無問題です。
しかし、小池知事率いる都民ファースト、そして公明党、民進党も受動喫煙防止条例をつくろう!と政策に打ち出しました。受動喫煙にNO!を突きつけたのです。
さあ、皆さん、どちらの未来を望みますか?
どの飲食店に行っても、喫煙可能で受動喫煙被害で人が亡くなり続ける東京か、子どもや妊婦、アルバイトの若者がタバコ被曝しない東京か。
都議選で、あなたの一票で、未来を創りましょう。
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2017年5月11日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。