「小学校入学」。親にとっては、わが子の成長に対するうれしさと期待感でいっぱいになる瞬間である。一方で、「どんな小学校生活を送るの」「イジメにあったらどうするの」「担任の先生ってどんな人なの」といった不安のタネもつきない。
『わが子が「お友達」関係で悩まない本 』(フォレスト出版) の著者、風路京輝(以下、風路氏)は、38年のキャリアをもつ元・小学校教師である。退職後は、小学生の子供を持つ親の疑問や不安などに答える「子育て支援」を行っている。今回は、子育てに関する問題について聞いた。
■見た目は友達関係に影響するか
――ビジネスの世界では見た目が成果に影響を及ぼすことが知られている。見た目だけよくてもダメだと言う人もいるが、相手の立場から考えればわかりやすい。場面や相手にふさわしい身だしなみをすることはビジネスパーソンとしての必須条件である。
実際に視覚からの情報は印象に影響を与える。人は思い込みをするので最初の印象がそのまま残ることが多い。悪い印象ほど、あとあとまで変わらないものだ。では子供はどうなのだろうか。
「初めて顔を合わせたときは、他に何も判断材料がないので、姿形で判断するしかないのは、大人も子供も同じです。その子の性格も、持ち味も、性質も、バックグラウンドも、何にもわからないわけですから、仕方のないことです。」(風路氏)
「であれば、見た目が『かわいい』『かっこいい』ほうが、そうでない子より有利かもしれません。」(風路氏)
――ところが、子供は子供なりの見る目をもっている。メッキがはげれば「絶交」「大嫌い」と印象が大きく変化することもある。外見は大きな要素だがそれだけではない。
「外見で唯一、心掛けたほうがいいことがあります。それは、『清潔感』です。登下校のときは私服や制服を着用していても、学校に着くと運動着に着替える学校や体育の授業時間だけ着替える学校があるでしょう。運動着は、動きやすいばかりでなく、汚れることも想定されています。当然、土やホコリなどの汚れが付きますし、体からの汗も吸い取ります。」(風路氏)
「成長が著しい小学生は、汗腺の働きが活発で、かいた汗も手伝って、臭いが発生してしまうこともあります。すると、子供といえども、隣の席に座るのがためらわれるようになってくるのです。小学生のいじめのきっかけになりやすいのが、この清潔感のない状況です。」(同)
■清潔感+アイテムも注意したい
――風路氏は、小学生の清潔感は、子供の責任ではなく親の責任だと語る。
「運動着は洗濯のために週末に持ち帰るのが普通ですが、子供が持ち帰ってこなかったときには、しっかり伝える必要があります。そこはしっかりしつけてあげてください。夏場などは、週の半ばにも洗うことができれば、なおいいですよね。そのためには、替えの運動着があると安心です。」(風路氏)
「長年着用していると、何となくオフホワイト、ライトベージュっぽくなってくる。それでも、『洗った感』があるものはOKです。」(同)
――運動着以外で気にかけるべきアイテムはないのだろうか。
「もう1つ心掛けてあげたいアイテムが『靴下』です。子供は活発ですから、すぐに穴が開いたり擦り切れたりするものです。靴下やソックスは、消耗品という意識で、ぜひこまめにチェックしてあげてください。できれば、ハンカチも忘れずに。」(風路氏)
「また、『お風呂にちゃんと入ってるのかなあ』というお子さんも、たまにいたりします。髪の毛がべたーっとしていたり、顔がなんとなくすすけたような感じだったり。これは、完全に子供の責任ではありません。100%親の責任です。」(同)
――子供は見た目のなかでも、清潔感に反応する。これから梅雨にはいり暑い季節を迎える。親として「清潔感」は気をつけておきたいものである。
参考書籍
『わが子が「お友達」関係で悩まない本 』(フォレスト出版)
尾藤克之
コラムニスト
<アゴラ研究所からお知らせ>
―2017年5月6日に開講しました―
第2回アゴラ出版道場は、5月6日(土)に開講しました(隔週土曜、全4回講義)。
講義の様子「アゴラ出版道場第2回目のご報告」