(編集部より:駒崎さんによると、NPOや行政だけでなく、異なるセクターが新しい形で協力し、社会問題を解決する「コレクティブ・インパクト」がソーシャル業界で注目されています。このほど米ボストンで開催されたカンファレンスに参加した際の備忘録を掲載します。)
カンファレンス終わってから報告まとめよう、とか思ってると、帰って溜まってる仕事を片付けないといけなくて、そのまま過ぎ去ってしまうの法則があるので、とりとめないですが、ちょっとずつまとめます。
コレクティブ・インパクト・フォーラムに関して
フォーラムはフランスやデンマーク、日本等、世界中から人が来ているらしく、さすがの集客力。規模的には同じくらいのものだったら作れる気がしますが、世界中から人は集められないので、負けた感。
YoutubeLiveでどこからでも見れるようにして、そのままYoutubeにアーカイブ、っていうのは良いやり方です。僕らもちゃんと、その辺りはしっかりしないと。
当日のプログラムとか、登壇者のプロフィールとかを、日本だったらぶっとい資料渡すところを、「アプリをダウンロードしておいてね」で済ませるところが、過剰品質を避けるアメリかっぽくて好き。でもアプリは結構使いにくいから、ここは普通に「PDFダウンロードしておいてね」で良かった
コレクティブ・インパクトに関して
・コレクティブ・インパクト(略してCI)は、5つの要素においてなりたっていて、
それは
①Common agenda (課題に対する共通理解に基づいたビジョンをシェアする)
②Shared measurement (共通指標を持って、それを各参加者がKPIとして追っていく)
③Mutually reinforcing activities ( 各セクターのプレイヤーが、相互に補強し合う )
④Continuous communication (信頼構築と動機付けのために定期的にコミュニケーションを取る)
⑤Backbone support (ちゃんとした事務局機能)
である。
で、指標については、地味にしっかりデータを取っているところが、見習わないといけないところ。日本だと、良いことやってそうだったら、それなりに評価されちゃうんだけど、しっかり数値化しないと、何が最善の打ち手なのか、やってる側も分かんなくなっていっちゃうんですよね
Shape Up Somerville という、サマービル市の子ども達の肥満率を行政・NPO・企業・大学がコレクティブに改善したプロジェクトだと、事務局を行政が担っていたのが意外。一つはアメリカだとローテーションがないみたいで、情熱持った人材がプロジェクトに関わり続けてくれるけど、日本だと最初の人はやる気あっても、人事異動後に来た人のやる気はルーレットなので、この辺りは民間が担った方が良いかも
手前味噌だけど、7月20日発表の、あるコレクティブ・インパクト案件があって、それを成功させるために学びに来ているわけだけれど、日本ではまだ全然事例がない。でも、かものはしがインドのコルカタ等で、現地の警察とNGOと組んで、少女買春を劇的に減らした事例とかは、日本発のコレクティブインパクトとしてもっと知られても良いかも。
これは 伊藤 健 (Ken Ito)さんが言ってたけど、日本においてインパクト評価って、自分のところの事業単体だとやってもやらなくても、あんまり関係ない。今だと寄付者も助成財団もインパクト志向ではないから。でも、コレクティブ・インパクトの文脈だと、評価はマストで、共有するためにデータを取ることがドライブされるから、コレクティブ・インパクトを広めていけば、評価の文化も一緒に広がっていくかもしれない
評価の絡みで言うと、日本だとSIBは多分やっぱりあんまり流行りづらくて、一方で、Pay for success (成果連動型助成金)の方が可能性があるのではないか。まずどこかの財団とかが、そうしたプログラムを組めば良いし、その実績をもとに中央省庁にも導入していく、という道筋が取れるのでは。
CIを始める際に、まずは小さくプロトタイピングして、そこから回り始めて数字も出始めたら、大木ファンディングしてやっていこうよ、っていうノウハウが紹介されていて、それはそうだよね、と。日本でいったら、事務局員1人+もろもろの経費で500万円くらいをファンディングして、とりあえず回していって、というのが良さそう
CIの研修をがっつり(例えば6ヶ月から12ヶ月で180時間)やって、構成メンバー達にメソッドを叩き込んで、共通言語を持って、始めていきました、みたいな話があって、日本だとそこまで研修にかけらないんじゃないかと思いつつ、でもそこの部分は共有しないとダメだよね、というのは、今自分たちがCIモデルをやっていて感じるところ。「なんとなく分かってる」だと、足りないんだよね。
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のFacebook 2017年5月24日の投稿を転載させていただきました。転載を快諾いただいた駒崎氏に感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。