偽装難民の中国人売春婦が増加

音楽の都ウィ―ンで中国人売春婦が増加してきた。難民を装って欧州入りした後、難民資格の審査期間、売春をして金を稼ぐ。その背後には、中国人女性を甘い言葉で欧州に呼び寄せる人身斡旋業者が暗躍している。オーストリア日刊紙クリアが29日付で大きく報道した。

▲ウィーンで難民装った中国人売春婦増加を報じる「クリア紙」電子版

▲ウィーンで難民装った中国人売春婦増加を報じる「クリア紙」電子版

オーストリア内務省によると、3年前までは“セクシーアジアガール”、“アジア・マッサージ・スタジオ”などの看板を掲げて客を呼ぶ中国系売春宿(Bordelle)は2件に過ぎず、そこで働く中国人売春婦は約30人だったが、その数は今日、75件に急増、中国人売春婦の数も約500人に膨れ上がっている。彼女らは30ユーロから50ユーロで売春に応じるので、地元の同業他社の経営を圧迫しているという。ウィーン市の売春市場は中国人女性で占拠されてきたというわけだ。

中国人女性はオーストリア入りすると、斡旋業者から直ぐに難民申請を強要される。申請後は3カ月間、オーストリア政府から難民手当が支給されるからだ。その支給金は業者が中国から欧州までの旅費として押収される。そして難民資格審査期間、仕事に従事できるから、中国系マッサージスタジオなどで売春婦として働く。

難民審査は通常、1年から2年かかるため、その間、売春婦として働き続ける。難民資格が却下された場合でもオーストリア側から補助支援を受けることができるケースが少なくない。ちなみに、中国人難民申請の場合、難民資格の認知率は4人に1人だ。

クリア紙は、「難民申請の法的手続きを利用した手口だ。オーストリア国民の税金が中国人売春婦への手当金として利用されていることになる」と指摘する。その事実が大きく報道されたならば、国民の反発が予想されることもあって、警察側も中国人売春問題については担当官に「報道関係者の質問に答えるな」と、かん口令を敷いているといわれるほどだ。

オーストリア警察は昨年、中国系売春宿を一斉捜査し、約150人の中国女性を保護したが、彼らは口を閉じるケースがほとんどだ。中国人女性にとって、人身斡旋業者に管理されているとはいえ、手に入る金は本国中国の時より数段多いから、口を割ることはないという。

クリア紙によると、オーストリア側の要請を受け、6人の捜査官が中国からウィ―ンに派遣された。彼らは2週間、オーストリア側の捜査に協力し、人身斡旋業者の犠牲者11人を解放したという。中国側の説明によれば、「中国では人身売買は最低でも5年の刑罰で、終身刑に処されるケースもある」という。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2017年5月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。