G空間情報センターって何だ?

6月21日は国土交通省の行政事業レビュー公開プロセス初日。今日は「道路事業(直轄・修繕等)」「鉄道施設総合安全対策事業(耐震補強)」「地理空間情報の活用の推進に係る総合的課題に関する検討」の三つを議論した。

もっとも多く議論されたのは「地理空間情報の活用」である。国土交通省は地理空間情報活用推進基本計画(第3期)に基づいて、昨年秋に「G空間情報センター」というバーチャルな組織を発足させた。基盤となる地図情報に加えて、地質図・火山基本図・河川のライブカメラ映像・自然環境調査・不動産登記情報・国勢調査などの地理空間情報を収集し、これらを広く国民に提供するのがG空間情報センターである。「収集」と聞くと大きなサーバーに全部のデータを蓄えるようだが、実際には、これらの地理空間情報を相互連携させて一つの地図上に表示できるようにするのがセンターの役割である。

センターは地理空間情報を提供するほか、典型的な利用例をショーケースとして展示し、今後は地方公共団体や企業に向けてのコンサルティング活動も実施するという。この構想に異論が出た。

ある地点をどのように表現するか、地名・住所・地番・緯度経度など表現方法はバラバラで統一されていない。これを統一する標準を定める、各種の地理空間情報が相互連携できるようにアプリケーション・インターフェースを定める、国家安全保障にかかわる情報や個人情報をマスキングする基準を定めるなど、地理空間情報の利用促進のために必要な基盤的な活動がある。こちらを推進するべきだというのが公開プロセスの結論である。

G空間情報センターをいつ終了させるかも議論になった。上のような標準・基準に沿って多くの地理空間情報が市中に提供されるようになれば、どう組み合わせて価値ある情報にするかは民間ビジネスの課題になる。これについては、公民の役割分担やセンターの出口戦略を考えよという結論になった。

「道路の修繕事業」と「鉄道の耐震補強」は似た性格を持っている。前者は国土交通省が直轄で管理している国道にある橋梁やトンネルの保守点検・修繕であり、後者は鉄道の高架橋を耐震補強する。安全を高めるためには費用が掛かるので、費用対効果を見繕ってどこまで投資するかを決める必要がある。

「道路事業(直轄・修繕等)」に関する結論は、毎年計画的に点検を実施し早め早めに修繕していくことでどの程度費用が節約できるか、きちんと評価する必要があるというもの。鉄道高架橋の耐震補強については、今、進めているせん断先行破壊に対する対策(阪神淡路大震災で鉄道高架橋が落下したのはせん断破壊のためである)に優先して取り組んでから、次に懸念される曲げ先行破壊に対応すべきという結論。このように、二つの事業には有効性の評価やいっそうの効率化が求められた。

22日には残りの4事業について公開プロセスが実施される。