日本の政治もメディアも変だ

帰りの飛行機で、週刊新潮を読んだ。小林麻央さんが亡くなった件で、市川海老蔵さんを批判した記事があった。正直、読んでいて胸糞が悪くなった。私は海老蔵さんの麻央さん死亡後の会見を見ていて、思わず胸が詰まり、思わずもらい泣きしそうになった。

もちろん、亡くなったという事実に対して、誰でも後悔の念が残るものだ。だが、週刊誌が、愛する妻を亡くして、それに耐えながら舞台を続けている海老蔵氏を何の権利があって非難をしているのだ。もちろん、「・・・・たら、・・・・・れば」というターニングポイントはあったであろう。

しかし、攻められるのは、詐欺師のような人たちであって、彼ではないはずだ。そして、もっとも責められるべきは、それを野放しにしているメディアや国ではないのか?海老蔵さんには、こんな誹謗中傷にめげずに頑張って欲しい。 

そして、同じ号に、あまりにも品格のない国会議員の記事が出ていた。日本滞在時にワイドショーで(私は日本を低俗化している元凶ではないかと思っているが、思わず見てしまった)録音されたテープを聞いたが、これは完全に国会議員としてだけでなく、一人の人間として終わっていると思った。自分のことを「・・・・様」と呼ぶなど論外だ。派閥のトップが、「秘書が高速道路を逆走していた・・・・」などの事情があると言い訳をしていたが、自民党の幹部として明らかに危機意識に欠ける発言だ。どんな理由があるにせよ、秘書を人間扱いしていない異常な口調は許されるものではない。 

公用車で子供を送り迎えしていたと批判を受けていた議員には同情したい。保育園は、宿舎と役所の真ん中くらいにあるので、途中寄り道して何が悪いのだろうかと思う。役所の人間や秘書が、公務と関係のない乳母車を押すなどの手助けしているのがそれほど大きな問題なのか?国のために働いている国会議員に対して、ここまで目くじらを立てて怒ることでもないだろうと私は感じた。 

米国の大統領選挙でも、一方の候補の議員の不利になる情報が選挙直前に流され、情勢が一変した。日本のメディアは、明らかに現政権の足を意図的に引っ張るように思えてならない。

しかし、今回の自民党の都議選挙での惨敗は、このようなメディアの印象操作だけでなく、自民党議員の危機管理の甘さの結果ではないかと思う。しかし、今の日本の政治を誰に任せろというのか?オセロのように白黒がコロコロ変わっては、国の信用を失うだけだ。米国や日本の隣国を見れば、政治のオセロ化は大変だ。


編集部より:この記事は、シカゴ大学医学部内科教授・外科教授、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のシカゴ便り」2017年7月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。