初の18歳都議選は若者たちの関心を呼べたのか?
小池知事の人気によって都民ファーストの会の圧勝、自民党が歴史的惨敗、民進党は激減に追い込まれて都議会議員選挙は終えた。
非常に関心が高いと注目された今回の都議選は、民主党による政権交代直前の2009年位実施された際の54.5%には及ばなかったものの、51.3%と前回からは7.8ポイント上回る結果となった。
世代別投票率が出ていないので詳しくは分からないが、東京都における18歳投票率は、参議院選挙の際には60.5%と、全世代の投票率57.5%を3ポイント上回っていた。ところが同月の小池ブームを起こした都知事選においては、全体の投票率が59.7%まで上がる一方で、18歳投票率は51.8%と▲7.9ポイントと逆転してしまった。
このことについては以前、『【18歳選挙権×東京都議選】18歳投票率、参院選では東京都が全国1位だったが、都知事選は9%減』にも書いた所だが、今回の都議会議員選挙においても、全世帯の投票率が上がった一方で、若年投票率はそれほど高くないのではないかと危惧する。
今回の都議選は、18歳選挙権実現後初の都議選であったわけだが、各党ともむしろ政局と旧来型の選挙運動そのものの活動に終始し、若者に向けた働きかけは極めて少なかったように思う。
候補者たちは若者たちを見ていただろうか?
代表理事を務める18歳選挙権を実現したNPO法人Rightsでは、今回の都議選において、若者の政治参加や政治教育に関する全候補者アンケートを実施するとともに、その回答から「若者のミカタは誰だ?」といったキャンペーンを実施した。
若者の声を都政に反映させるための若者参画政策については、「審議会・有識者会議等への高校生・大学生を含む若者の登用」、政治教育に関しては、「各学校に現職の議員を超党派で学校に招くことの推進を積極的に行う」といった項目に関しては回答候補の9割以上が「当選後あらゆる手段を用い実現できるよう働きかける」、「当選後質問で取り上げる」と前向きな答えが多かったが、その他の項目については、「賛成とは言えない」といった意見が多かった。
回答については、詳しくは以下を見てもらいたい。
今回のキャンペーンにおいても、回答の中身以前に、回答率も低く、若者に向けたアンケートに答えようという意識が候補者に足りないように感じた。
NPO法人Rightsでは引き続き当選した議員に対してもアンケートを続ける。
選挙中は忙しくて手が回らなかったという議員の皆さんも、是非以下から回答してもらいたい。
『若者の政治参加および政治教育に関する東京都議会議員アンケート調査』
20代5人、30代22人が当選。20代も30代も若手議員は倍増!
一方で、前回の都議選時に比べて若手都議が数多く誕生した。
20代議員は、前回の2人当選から2.5倍の5人当選に。30代の議員も11人から22人にと倍増した。
最年少は27歳だった。立候補者に占める当選の割合も20代は62.5%と極めて高く、30代も55.0%と半数以上が当選した。
図表: 20代・30代都議会議員一覧
出展: 高橋亮平作成
今回の都民ファーストの会の躍進の背景には、女性ももちろんだが、こうした若いこれまで政治に関わってこなかった人材が政治の世界に入ってきたこともあるように思う。
国内における若手議員の人数や割合については、以前、マクロン大統領誕生の際に、『39歳最年少仏大統領誕生で考える。日本の若手議員一覧と都道府県ランキング』を書いたが、日本においては、国会議員では現在、20代は0人。30代でも全体の5.9%しかいない。
2015年の統一地方選挙時に当選した若手県議会議員が定数に占める割合は8.7%。20代は0.4%だった。
今回の選挙で東京都議会に占める20代の割合は3.9%、30代は17.3%、合わせた若手議員の数は21.3%となり、5人に1人以上もを若手が占めるようになった事は、大きな変化と言えるのではないかと思う。
2019年の統一地方選挙には、被選挙権年齢引き下げを
国政レベルでの話にはなるが、2016年の参議院選挙では全ての主要政党が被選挙権年齢引き下げを掲げ、自民党も2019年の統一地方選挙までの引き下げを準備している。
今回の東京都議会議員選挙では、48人もの多くの若者が政治家として挑戦したわけだが、こうした若者たちが、直接政治家として関わる流れは、今後さらに進んで行くだろう。
18歳選挙権は決して一過性のブームに終わらせてはいけない。当事者として若者を巻き込むことも含め、選挙以外でもどう民主主義の質を高めて行くかは、今後の大きな課題と言えるのではないか。