日欧EPA大枠合意でみえた、日付け表記の不思議

日本と欧州連合(EU)は5日、経済連携協定(EPA)交渉で大枠合意に達しました。マルムストローム欧州委員(通商担当)が6月30日に東京を訪れ、7月3日に岸田文雄外相がブリュッセルに飛ぶなど当局者がギリギリまで交渉を続け、実を結んだことになります。G20首脳会議がドイツのハンブルクで開催される直前、滑り込みセーフとなりました。トランプ米大統領にとって、痛烈なメッセージを突きつけた格好です。とはいうものの、ドイツがG20首脳会議前の合意を頑に主張していただけに、6日までの合意は既定路線だったのでしょう。安倍首相が6日にブリュッセル入りする予定は事前に決まっていましたし、駐日EU代表部のwebサイトでも、こんなリリースが3日に出ていました。

日・EU首脳協議、7月6日に開催へ
Brussels, 03/07/2017 – 02:57 – UNIQUE ID: 170704_1EU News 144/2017
ブリュッセル

<日本語仮訳>

欧州連合(EU)と日本の間の定期首脳協議は、来る7月6日にブリュッセルで開催される。同協議では、日・EU自由貿易協定(経済連携協定)と日・EU戦略的パートナーシップ協定の政治的合意が発表される予定である。EU側は欧州理事会のドナルド・トゥスク議長と欧州委員会のジャン=クロード・ユンカー委員長が、日本は安倍晋三総理大臣がそれぞれ出席する。日・EU自由貿易協定

EUと日本の首脳は、日・EU自由貿易協定と日・EU戦略的パートナーシップ協定の政治的合意を発表する予定である。

二者間協力
双方の首脳は、安全保障分野における日・EU協力の強化について協議する。現行のテロ対策における協力は、第三国との能力構築、テロ資金調達対策および外国人テロリスト問題に焦点を当て、強化される。双方の首脳はまた、エネルギー、科学技術、開発、輸入規制およびデータ保護といった分野における協力も話し合う。

世界的課題
首脳協議では、開かれた公平な世界経済を促進し、あらゆる形の保護主義的行動を慎むことへの決意を強く主張する。両者は気候に関するパリ協定の完全実施への決意を強調する。また、人の国際移動に関する問題における協力強化への決意を再確認する。

地域・外交政策に関する問題
首脳協議では、朝鮮半島情勢を含む、EUと日本それぞれの近隣地域での最新情勢が話し合われる。ウクライナ、シリアのほか、東シナ海と南シナ海での状況も協議される。

——日本からは自動車に付与された関税10%について7年後の撤廃、EUからは農産品の段階的関税撤廃をあじめチーズの低関税輸入枠設定、ワインの関税即時撤廃などが盛り込まれる見通しです。ちなみにEUは2011年に韓国とEPAで合意しましたが、その後の影響はというとこちらで確認できるようにそれほど貿易が刺激されたようには見えません。

epa

(出所:EU)

日欧EPAでは、目に見えた効果が現れるのでしょうか?少なくとも、ワインとチーズが大好きな皆様は、恩恵を受けるでしょう。筆者も外務省からの発表資料を眺めつつ、ローヌ産の赤ワインやイタリア産ピニョグリージオの輸入量拡大と値下げに期待しています。余談ですが、リリースをご覧になって何か不自然な点に気づかれませんでしたか?欧州や米国に関係が深い方にはお馴染みのあの問題、そうです、カレンダーの日付順です。日本は2017/7/5のように、Year/Month/Dayが慣例で、米国では公的書類などMonth/Day/Yearの順で表記されます。

しかし、欧州ではDay/Month/Yearなんですね。本日のように5/7/2017と示されると、筆者のような米国帰りは時折、頭の中で「???」が広がってしまいます。ちなみに筆者が大変お世話になっている先輩いわく、混乱を回避するために月の表記をアラビア数字ではなく、Julyとローマ字で表記するように心がけているのだとか。確かに、ローマ字じゃないと悩んじゃいますよね。しかし、欧州はなぜdayから表すのでしょうか?どなたかご存知であれば、ご教示下さい。(カバー写真:Ruptly TV/Youtube)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年7月6日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。