【映画評】ジョン・ウィック:チャプター2

渡 まち子
提供:ポニーキャニオン

提供:ポニーキャニオン

壮絶なリベンジから5日後。伝説の殺し屋ジョン・ウィックは、マフィアの頭首である実の姉を殺してその後釜に収まろうと目論むイタリアン・マフィアのサンティーノから、姉殺しの依頼を受ける。ジョンは、一度は断るが、思い出深い自宅を木っ端みじんに破壊され、さらに、かつて殺し屋稼業から足を洗うためにサンティーノとかわした“誓印”に縛られて、やむを得ず引き受けることに。サンティーノの姉の殺害は成功するが、サンティーノは姉殺しの罪をジョンにきせた上、ジョンの首に高額の懸賞金をかけ、世界中の殺し屋にジョンを狙わせる。四面楚歌に陥ったジョンは、NYの独自の情報網と組織を束ねるキングの強力を得て反撃を開始するが…。

伝説の殺し屋の壮絶な復讐を描いてスマッシュ・ヒットを飛ばしたアクション・ムービーの続編「ジョン・ウィック:チャプター2」。前回、亡き愛妻が残してくれた子犬を殺された復讐のために屍の山を築いてみせたジョン・ウィックだが、それだけ妻への愛は深かったわけで、今回は妻との思い出がいっぱいつまった自宅を破壊され、怒り心頭だ。2代目の愛犬の命は守ったが、復讐のスイッチ、オン!である。だが一直線にリベンジというわけにはいかず、一旦は意に沿わない殺しの仕事のために、NYからローマへ。スタイリッシュなイタリアン・スタイルで銃やスーツを整える場面は、数々のガジェットが登場し楽しめる。殺し屋組織コンチネンタルのローマ支部の代表役に、渋いフランコ・ネロを配する気配りもニクい。

前作のヒットを受けて予算も倍増なのだろう、ロケ地やファッションだけでなく、アクションも前作に比べてグッとパワーアップしている。前作ではカンフーと銃撃を組み合わせたガン・フーが新鮮だったが、今回は加えて、ナイ・フー(ナイフ)、カー・フー(車)など、ギャグすれすれのアクションが満載だ。もちろん生身のアクションもあるが、超高級の特別仕様の武器で戦うかと思えば、身近な文房具の鉛筆さえも殺しの道具にする柔軟なスタイルに感心させられる。物語は各段にスケールアップしているが、やっていることは前作とまったく同じ。だが、この“スタイル”こそが孤高の殺し屋ジョン・ウィックなのだ。殺し屋組織を統括するコンチネンタルは、どうやら世界中にある様子。次回は、アジア?それとも南米?いずれにしても続編熱望である。
【65点】
(原題「JOHN WICK : CHAPTER 2」)
(アメリカ/チャド・スタエルスキ監督/キアヌ・リーヴス、コモン、ローレンス・フィッシュバーン、他)
(スケールアップ度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年7月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。