昨日、映画「RAILWAYS」を観ていて、ふと考えたのは”地方活性化”のために中高年のUターンを促進してみてはどうかということです。
同映画の主人公は、東京の大手電気会社で取締役就任を打診されている49歳の男性です。母が倒れたことがきっかけとなって、子供の頃からの夢だった島根県の小さな電車の運転手に転職してUターンするという物語です。
昨今の地方活性化は、とにもかくにも若い世代の移住やUターンばかりに熱心になっていますが、この映画のように中高年のUターンというのもあっていいのではないかと思います。そんなことをしたら、地方が高齢者ばかりになってしまい、社会保障費負担が増えるだけだという反論もあるでしょう。
しかし、今の中高年はまだまだ元気で、現役として働ける人の方が圧倒的に多いはずです。人生100年とまではいかなくとも、地方を活性化するための知恵と経験を20年くらいは発揮できるはずです。
50歳前後というと、多くの大企業では「先が見える」という年齢です。銀行などではどんどん出向・転籍していきます。つまり、人生の転機が訪れる年代なのです。50歳までの人生に一区切りを付けて、新しい仕事に取り組む意欲も能力も持ち合わせています。
また、入ってくるのが中高年であっても、人口だけに着目すれば、地方の人口減少に歯止めがかかります。それまで都会で培ったノウハウを活かして新しい産業を育成すれば、地元の若者を地元に留める効果も期待できます。何より異質なものを取り入れることによって、地方が大きな化学変化を起こす可能性を秘めています。その点が、社会経験の少ない若者の誘致との大きな違いです。
人口減少に備えて海外移民の受け入れが検討されていますが、私はいっそのことリタイアやセミリタイアした海外の裕福な高齢者を受け入れた方がいいと考えています。治安の良さや風光明媚な日本は、海外富裕層のリタイア地として好条件が整っています。
労働力を入れるのではなく、消費主体を取り込めば、おのずから経済は活性化して「是非、日本で働きたい」という若年層を惹き付けることができるでしょう。労働力として消去法で入ってくる人たちより、夢を持って積極的に入ってくる人たちの方が国力にとってプラスであることは言うまでもありません。
急がば回れというように、すぐに結果を求めるのではなく、このように逆の発想から地方活性化や外国人労働力の導入を進めてみるのはいかがでしょう? もちろん、多くの課題はあるでしょうが、検討してみる価値は十分あると考えます。
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年7月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。