最も役に立たない自治体サイトの機能

山田 肇

職員のまじめさが役に立たない自治体サイトをつくる』という記事について、もっと丁寧に説明してほしいという希望があった。今日は最も役立たない機能を紹介する。

品川区のトップページには上部に『色変更』というボタンがある。それを用いれば、背景色が白で文字色が黒の標準色を、白黒反転などほかの配色に変更できる。これは弱視の人向けのアクセシビリティ機能である。弱視の人は画面に目を近づけてサイトを閲覧するので、画面の大半が白だと、まぶしくて目が痛くなる。そこで黒の背景に白でテキストを浮かび上がらせて目に優しい表示にするという対策である。

実はこれが一番役立たない機能。弱視の人はそもそもパソコンを白黒反転に設定しているからだ。Windowsパソコンの場合には、『設定』→『簡単操作』→『ハイコントラスト』で、コントラストを合わせられるようになっている。これを設定したのちに『アゴラ』を開けば次のように見える。

弱視の人はこのような設定をしてから品川区のサイトを閲覧するのだから、『色変更』には意味がない。

唯一可能性があるのは、情報をアップする品川区職員が弱視の人の見え方を事前にチェックするという利用法である。しかし、こんな内部作業にしか使えない機能を表に出す必然性はない。