こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
私も注目しておりブログで取り上げた奈良市長選挙ですが、開票率が100%近くになるまで当選確実が出ず、最後はわずか2,022票差で現職の仲川げん候補が当選しました。
しかしながら、次点落選となった対立候補が「疑問票」の取扱について抗議を行うなど、まだ若干のところ予断を許さない状況が続いているようです。
仲川候補に投票したと思われる「疑問票」が約4,500票あり、その取扱次第では当落がひっくり返る、と対立候補が主張しています。
この「疑問票」って一体なんじゃらほい??
ご存知の通り、我が国の投票は「記名式」で行われます。白い投票用紙が渡されて、そこに意中の候補者の名前を書く形式ですね。
ところがこの形式だと、目の前に候補者一覧が貼ってあるとはいえ、どうしても「書き間違い」をする人が続出します。
今回のケースですと、疑問票約4,500のうち、そのほとんどは仲川候補を「中川」と間違えたもののようです。
ではこうした、正確には間違っている「疑問票」は、どういう取扱になるのでしょうか?
これらは選挙管理委員会が判定し、簡単に言えば「間違っているけど、明らかにその候補に入れようとした意思が認められる」場合は、その候補者の得票としてカウントされます。
例えば私の場合だと、
「おとたき駿」
「おとたけ駿」
くらいの間違いであれば、おそらく私の得票になると思います。
一方で「おと」だけしか書いてなければ無効になる可能性はありますし、例えば
「鈴木たろう」
「鈴木はなこ」
という候補者が出ている選挙で、「鈴木」としか書いてない疑問票が生じた場合、両候補に0.5票ずつカウントされる「按分票」となることもあります。
今回の奈良市長選挙のケースですと、「仲川」を「中川」と間違えただけなら、他に同名の候補者もいませんし、仲川候補の得票とするのが妥当な判断であると思われます。
約4,500票の疑問票の内訳はわかりませんが、数票~数十票の差であればまだしも、2,000票以上の差がひっくり返ることはまず考えづらいと言えるでしょう。
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このような「疑問票」の発生を防ぐために、記名式ではなく投票用紙に予め候補者の名前が書いており、選択して投票する「選択式」を採用するべきだとの声も根強くあります。
こちらの形式のほうが、身体障害者の方などにも親切です。
一方で選択式を採用すると、記載されている名前の並び順で得票率が変わってしまうという説もあり、なかなか一筋縄に変化を起こすことは難しい状況です。
一票の「疑問票」の取扱で、当落が別れることもあるシビアな選挙の世界。こんなドラマや仕組みにも目を向けると、もう少し選挙が楽しく・興味深くなってくるかもしれませんね。
それでは、また明日。
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おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 33歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。
編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏のブログ2017年7月11日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。