トランプ政権は10日、FRB副議長に元財務次官のランダル・クオールズ氏を指名すると正式発表した。クオールズ氏は2005~2006年のブッシュ政権下で国内金融担当の財務次官を務め、金融規制に精通しているそうである(日経新聞)。
FOMCでは7名の理事と5名の地区連銀総裁の計12名が投票権を有する。このうち理事とニューヨーク地区連銀総裁は常任メンバーで、残りのメンバーはその他の地区連銀総裁が輪番制で1年間担当する。
現在のFRB理事の布陣は年初、ジャネット・イエレン議長、スタンレー・フィッシャー副議長、ダニエル・タルーロ理事、ジェローム・パウエル理事、ラエル・ブレイナード理事の5名であった。
ところがタルーロ理事が4月に2022年1月まで5年の任期を残して途中辞任してしまった。
金融危機後に銀行規制担当の副議長を設置することが決定したもののオバマ政権は与野党対立のあおりで同ポストの任命を見送っていた。このため実質的にタルーロ氏が理事ポストのままで金融規制担当を担ってきた。ところがトランプ政権となり、同氏に対し共和党から反発も広がっていた。このため早期辞任となってしまい、FRBの7名の理事のうち3名が空席という異常事態となっていた。
このため、まずはこれまで見送っていた銀行規制担当の「副議長」として、ランダル・クオールズ氏を指名したものとみられる。
タルーロ理事の辞任からもわかるように、クオールズ氏が就任すれば規制緩和へ路線転向を図ることになろう。ただし、金融政策そのものについてはクオールズ氏はテイラー・ルールの支持者ともされ、現在の利上げを含む正常化路線には理解を示すとされている。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2017年7月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。