LIVE MUSIC HACKASONG

このところデザインやテック系の学生から、商品やサービスのプロトタイプ作ってユーザ評価も良好という研究報告をよく受けるんですが、その研究の意味は何?と聞き返すことが多い。だって評価は良好に決まってるもん。タダで新しいモノ使わせてくれるなら。

商品やサービスの評価は、その研究のスポンサーが投資に値するか、ユーザが購入するかですよね。前者はスポンサーに直接聞くべきだし、後者は潜在ユーザに「価格」を示して評価させないとリアリティーがない。研究としては成り立つのかもしれませんが。

なにせちかごろ無料のものが多いから、価格を認識しないでユーザ調査したりするんですが、その場合、ではそのビジネスに誰が投資し、誰が広告を出稿してくれるのかが裏についてないとね。

デザインにしろテックにしろ、それが実商品や実サービスを前提とする研究は、マーケットやビジネスを認識していないと、独りよがりになりがちです。ウチの大学院がマネジメントも柱にしているのはそういう意味です。

さて、そんなことを考えつつ、ポップテック特区CiP☓ビルボード「LIVE MUSIC HACKASONG」最終審査会。審査員長を務めました。会場のお客さまたちと一緒に、10組のプレゼンを審査しました。

技術者やプログラマーが集中的にプログラムを制作するイベント、ハッカソン。普通は1日-2日で作り込みますが、今回は11月から3ヶ月かけて作りました。テーマは「ライブ体験の拡張」。Techを使ってPopをプロデュース。バーチャルでリアルを演出するものです。

学生や起業家の卵たちが、プロのサービサーらとともに、商品やサービスのプロトタイプ作って、スポンサー候補のかたがたにプレゼンをします。学校や学会で、リスクを負わない相手に対してプレゼンするのとはわけが違います。ヒリヒリします。

でも、エンタテイメントのイベントである点がこのハッカソンの特徴。楽しくやりました。

モデレーターは吉本興業カラテカの入江さんと、KMD佐藤千尋さん。電通ラボ東京、東芝、Napster、レコチョク様に技術提供をいただきました。審査会ライブはLINE LIVEで生中継しました。

ステージから投げキッスするとその先の客が持つウチワが光る。ライブの盛り上がりをスクリーンに示す。
音楽に合わせてドローンが飛ぶ。
Pepperがライブ360度映像をVR送信する。
アーティストの脳波データをステージで可視化する。
豊かなアイディアの実装がプレゼンされました。

優秀賞は3次元の自由な場所からライブ映像音声を再生するシステム。
最優秀賞はライブ映像の収録スイッチングを自動で行う装置。
いずれも即実用のレベル。乞うご出資!

出場者の中には慶應KMD、SFC、SDM、明治など学生もいれば、IT企業社員もいれば、ベンチャー起業家の姿もありました。純朴なテック系プレゼンの合間にはライブも。SETAさんと佐橋佳幸さんのデュオ、素敵。佐橋さん(松たか子さんの夫)、気さくなかたでした。

ぼくの総評:AR,VR、ドローン、ロボット、ウェアラブル、IoT、技術のおもちゃ箱でした。だけどやっぱりワクワクするのはライブ。ライブというリアルなポップと、バーチャルのテックを掛け合わせる新世界を2020年に向けて作ろう。参加型で。みんなで作ろう。またやりましょう。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2017年7月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。