ECBは9月の理事会でテーパリング計画を発表か、注目はジャクソンホール。

6月27日にポルトガルで開催されたECBの年次政策フォーラムで、ECBのドラギ総裁は景気回復に即した緩和策の調整、つまり景気が順調に回復するのであれば、緩和効果を一定に保つための利上げの可能性を指摘した。つまりECBが年内にも理事会で政策修正を検討する可能性が出てきた。

また、ドラギ総裁は今年のジャクソンホール会合に3年ぶりに出席すると伝えられた。

8月24日から26日にかけて末に米国ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催のシンポジウムは市場参加者にとり大きな注目材料となっている。これには著名学者などとともに、日銀の黒田総裁など各国の中央銀行首脳が多数出席することで、金融関係者によるダボス会議のようなものとなっている。

2010年8月27日にはバーナンキ議長(当時)がQE2を示唆する講演をジャクソンホールで行った。このシンポジウムに出席していた白川日銀総裁(当時)は予定を1日に早めて急遽帰国し、8月30日の9時から臨時の金融政策決定会合を開催し、新型オペの拡充策を決定した。

2012年のジャクソンホールでは、ECBのドラギ総裁は9月1日にECBのパネルディスカッションの出席も予定されていたにも関わらず、直前になってシンポジウムへの参加を取りやめた。その理由として向こう数日に多忙を極めると予想されるためとECB報道官は語っていたが、9月6日のECBの政策理事会では新国債買い切りプログラム(OMT)を決定していたのである。

2014年8月22日のジャクソンホール会合でECBのドラギ総裁は、ユーロ圏のインフレ期待が「大幅な低下を示した」と発言した。この発言は講演原稿にはなく同総裁の「アドリブ」であった。さらに政策姿勢を一段と調整する用意がある、とした講演原稿の中でも「必要になった場合は」の文言が省かれていた。これらはドラギ総裁は資産購入プログラムの導入を示唆したとされる。その後、9月4日のECB政策理事会では現状維持との大方の市場参加者の予想に反して、利下げとともに、10月からの資産買入れを決定した。

2015年と2016年のジャクソンホール会合にはドラギ総裁は出席しなかったが、今年の会合には参加すると発表された。前回出席した2014年のジャクソンホール会合への出席時にドラギ総裁は政策変更の可能性を示唆していたので今回も政策変更の可能性を示唆するのではとの観測が強まった。

さらにWSJはECBが資産買い入れを段階的に縮小する方針を9月の政策理事会で示唆かと報じている。資産購入規模を現行各月600億ユーロ規模から徐々に縮小する計画を発表すると見られている。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2017年7月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。