前川氏が「もう一つの嘘」をついていた可能性 --- 山田 高明

寄稿

7月10日 NHK国会中継より

前川喜平、石破茂、日本獣医師会、その政界側代理人・北村直人らが、これまで散々、加計学園による獣医学部新設が「欠格」であることの有力根拠にしてきた、例の「新設4条件」なるものが、実は日本獣医師会側と通じた石破茂が新設を阻止する目的で作成したものだった・・とする産経新聞の報道が関係者に波紋を広げている。

その記載は当の日本獣医師会のサイトに資料としてあるため、事実と思われる。

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しかも、私は事の経緯を調べていくうち、あるとんでもない疑惑に気づいた。

それは、「石破茂ははじめから特区潰しが目的で担当大臣の椅子を貰い受けたのではないか」ということ。なぜなら、状況証拠はかなり黒い。ただ、この「第二の疑惑」に関しては当記事の趣旨ではないので、別の記事にまとめた(*記事下にリンク)。

「石破4条件」の作成には絶対に協力者がいる!

さて、この新設潰しのための4条件は、石破いわく「練りに練った」ということだが、そもそも門外漢の石破とその秘書に獣医教育関係の政策が“練れる”はずもなく、どこかの専門家が必ず作成に関与したに決まっている。

果たして、それは「誰」なのか。

4条件には、業者というより、政策サイド(規制当局)の考えがより反映されている。よって、協力者は、獣医教育を担当する文科省の高等教育局(出身)の官僚だと、私は推測する。だいたい、私は当初、4条件を見た瞬間、「これは文科官僚が新設阻止を目論んで作成したものではないか」と直感し、そう記事に書いておいた。

実は、高等教育局は日本獣医師会とタッグを組んで、将来あるべき獣医療教育体制をずっと模索していたのだ。ライフサイエンス云々の用語の出所もそこに違いない。

仮にそうだとしたら、前川元事務次官が知らなかったはずがない。石破が4条件を作成したのは2015年度前半と思われるので、まだ前川は最高官ではなかったし、また畑違いで直接タッチしなかったとしても、必ず耳には入っていたはずだ。

反安倍側が“共謀”していた可能性

とすると、国民はまんまと彼に一杯食わされたことになりはしないか。

先の7月10日の閉会中審査で、前川氏がしきりと「今治市からの提案は4条件を満たしていない」などと強調したことは、ご存知の通り。だが、それ以外の機会においても、彼は事あるごとに、この4条件を自説の正当性の主柱としてきた。

同じように、石破茂、日本獣医師会長、その北村顧問らも、これまで加計学園が新設業者として欠格であることを示す「伝家の宝刀」として、この4条件を散々振り回して安倍政権を追い込んできた。これが、まさか彼ら自身による新設阻止のための謀略の産物だったという真相は、多くの人を不快にさせるに十分だ。

しかし、単に「不快」で済まされない大問題を孕んではいないだろうか?

この三者は当事者なので、当然最初から知っていた。では、前川はどうなのか。この4条件を政治的な武器にしてきたのは、前川も同様である。

言ったように、限りなくクロ。

つまり、今回、各人の固有事情から「反安倍政権」という共通の目的で集った前川、石破、日本獣医師会、北村らは全員が“共謀”していた、ということなる。

加計問題ならぬ新たに「姦計問題」が浮上して然るべき

これが政治的に「何」を意味するのか、メディアの誰も追求しない(できない)のが不思議でならない。なぜなら、これは本来大騒ぎになって当然の問題だからだ。

それは、彼らが「国民を騙した」ということである。自分たちが獣医学部の新設を阻止するために裏でコソコソと作ったルールを、そうと明かすことなく、さも新設判断の公正な基準であるかのように世間を欺いた、ということである。

これは、以下の事例とは「次元」が異なる。

一つ、前川は「出会い系バー」の出入りに関して、当初「貧困調査だった」と主張してきた。だが、前回の閉会中審査で、その表現が不適切だったと認めた。

一つ、獣医師会の北村顧問は、ずっと「山本地方創生大臣と面会した際、当初から『加計ありき』で、京都の話は出なかった」と主張し、大臣側の主張と食い違っていた。だが、当の獣医師会長の蔵内氏が「大臣は京都にも言及しており、どうしても作るなら一校だけにしてほしい」という流れになった経緯を明らかにした。

以上の二つの嘘は、罪がないとは言わないが、まあ「とっさに口からついて出た」というふうに、好意的に解釈できないわけでもない。

ところが、このケースは根本から違う。

自分たちが裏ででっち上げた不正なものを公正なルールであると世間に錯覚させ、「加計学園がどうクリアしているというのか!?」などと世間に向かってぶち上げて見せ、正義然として政権に詰め寄った行為は、公(国民)に対する政治的な詐欺に値する。

この問題が国をあげての公論になった段階で上の行為に及べば、人々の健全な判断と公論を意図して誤らせた、社会に対する背信・公益毀損事案になるのである。

ただの自作自演で済まされるレベルをとうに超えている大問題なのだ。

必要なのは前川氏への品行調査

さて、他の三者と違って前川が作成に直接関わらなかったとしても、事前に知った上で政権をネチネチと攻撃していたとすれば、同罪である。しかも、それを自身の正義の外観としてきたわけだから、これはもう人格を疑うレベルである。

いやいや、彼に関してはまだ「疑い」だ。だから、彼が本当に国民を騙していたのかどうか、はっきりさせるべきだと思う。つまり、以下のことが必要。

  • 前川が4条件作成の真相を知っていたのかどうか、メディアは追求すべし。
  • 平行して、石破の協力者を炙り出すべし。文科省高等教育局をガサ入れすべし。

繰り返すが、この「嘘」は、例の貧困調査云々より、はるかに悪質である。

前川氏はくだんのリークに関して「国家権力から嵌められた」と主張している。

だが、仮に、彼がこの「もう一つのより重大な嘘」をついていたとすれば、彼もまた国家権力と国民側を嵌めていた、ということになる。

つまり、「自分は嵌められた」などと抗議する道徳的資格を一切失う。

私の推測は散々申し上げた通り。彼は最初から知っていた――つまり、私たちを騙す気まんまんだった、というもの。彼の支持者すら呆れ返るほどに。(以上敬称略)

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(フリーランスライター・山田高明 個人サイト「フリー座」