立憲民主党の蓮舫さんが東京都知事に立候補すると表明しました。彼女は国籍法に違反し、公職選挙法にも違反したため民進党の代表を辞任しましたが、いまだにマスコミでは「二重国籍は問題じゃない」という人がいるので、2017年7月29日の記事を再掲します。
「二重国籍」は不注意ミスだが「国籍詐称」は重大な問題
日本の国籍法では二重国籍を認めていないので、蓮舫さんが1985年に日本国籍をとったとき、台湾国籍を離脱すべきでした。このときは彼女のお父さんが国籍法の特例措置(附則5条)で手続きをしたので、3年以内に台湾籍を抜けばよかったのですが、お父さんは忘れたのでしょう。まだ10代だった蓮舫さんもわからなかったと思います。
それ自体は大した問題ではありません。彼女が芸能人だったら「私は台湾との二重国籍よ」という国際性を売り物にしても実害はありませんが、国会議員になると大変です。国会議員の被選挙権は「日本国民」であることですから、二重国籍でも立候補の届け出はできますが、国籍法違反の状態では選挙管理委員会が立候補を受理しないでしょう。
ところが日本の選挙で届け出るときの戸籍抄本にも謄本にも、国籍欄がありません。このため選管が蓮舫さんの違法状態をチェックできず、彼女は2004年の選挙公報では、二重国籍なのに「台湾籍から帰化」と書きました。その後も、2016年の選挙でもホームページに「日本国籍」と書いて当選しました。
2004年の選挙公報
これは公職選挙法違反(経歴詐称)です。青山学院大学卒の蓮舫さんが「東大卒」と選挙公報に書いて当選したら、当選無効で失職するのと同じです(過去に学歴詐称で2人失職しています)。この容疑は公訴時効(3年)が成立していますが、国会議員として説明責任があります。今に至るも蓮舫さんは、この疑惑について論理的に一貫した説明をしていません。
過去の嘘について説明責任がある
国籍で嘘をつくのは、学歴より深刻です。国会議員は内閣総理大臣になることができるからです。もし日本と台湾の間で国境紛争が起こると、彼女はどっちの国の立場で外交交渉をするんでしょうか? 外交官には「二重国籍は禁止」という規定がありますが、外交官を指揮する総理大臣が二重国籍では話になりません。
戦争が起こると、もっと大変なことになります。総理大臣は自衛隊の最高指揮官なので、彼女は台湾政府から台湾人として戦争を指揮するように求められるでしょう。国籍の中でいちばん大事なのは兵役だから、それが彼女の台湾国民としての義務です。
もうよい子のみなさんでもわかりますね。二重国籍の総理大臣が外交や国防を指揮することはできないのです。アメリカ合衆国憲法では、大統領を「アメリカ生まれの米国民」に限っています。日本でも総理大臣になる資格のある国会議員には、二重国籍を認めないのが当たり前です。
このために国籍法を改正しようという人もいますが、上に書いたように選管が立候補のとき国籍をチェックすればいいので、法改正の必要はありません。逆に国籍法を改正して二重国籍を認めるべきだという人もいますが、これも必要ありません。今は法務省の国籍チェックはゆるく、在日外国人が肩身のせまい思いをすることはありません。
二重国籍の人は30万人とも50万人ともいわれ、すべてきびしくチェックしたら入管業務がまひしてしまうので、日本は実質的に二重国籍を認めています。国家権力を行使する国会議員や公務員だけ、国籍チェックをきびしくすればいいのです。
このように国籍は「排外主義」か「多文化の共生」かというような話とは関係ない手続き論です。ヨーロッパでは二重国籍を認める国が多いのですが、テロ対策などのセキュリティで二重国籍は好ましくないという方向になっています。日本では外交官は二重国籍を禁じられていますが、自衛官には二重国籍を禁じる条項がありません。
日本の国籍法は柔軟に運用されているので、今のままでいいと思いますが、優秀な人材を獲得する障害になるなら改正したほうがいいでしょう。国会議員や自衛官などは、明文で二重国籍を禁止すべきです。
ただ政治家は別です。蓮舫さんのように違法行為がばれてからも1年近く逃げ回って「排外主義には屈しない」などと問題をすりかえる嘘つきには、都知事の資格はありません。都知事選挙では、改めて説明が必要だと思います。