たった1年強!ツアー客ゼロからお客様満足度1位になったプロセス

この度、2016年度の阪急交通社の1,000を超える宿泊付き国内ツアーの中で、「長島大陸市場食堂」を含むツアーが客様お食事満足度第1位(91.8点)に輝きました。

かごしま再発見の旅1
鹿児島県最北端の町長島町。

人口は1万人ですが、ブリは毎年250万匹出荷。「鰤王」ブランドで世界約30か国に輸出され、世界一のブリの町として知られています。

ところが、公共交通が弱いこともあり、これまでツアー客はほとんど来ていませんでした。

町自慢の農産物・水産物を外に販売するだけでなく、地元でも満喫してもらいたい。

そのためには、大手旅行会社と連携することが1番の近道。阪急交通社(代表取締役社長:松田誠司)と連携し、役場内に長島大陸支店を設けました。

阪急交通社のツアー客は、2014年度まで1人も来ていませんでしたが、2015年度には試験的に134人が訪問。2016年度には1,834人が訪問し、1,000を超える宿泊付き国内ツアーの中でなんとお客様満足度1位になりました!(2017年度は現在2.300名。4,000名を見込んでます。)

そのプロセスとは!?

阪急交通社の本社や鹿児島支店などから毎月1回阪急交通社の社員が訪問。長島町役場で、農家や漁協、商工会などさまざまなプレーヤーと意見交換を交わします。

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「この時期は、規格外のじゃがいもがたくさんあるんだよ。」
⇒ じゃがいも詰め放題のツアーを作りましょう

特に、ツアーを作る、広告するということにおいては、大手旅行会社の右に出るものはありません。すぐに、未活用の資源を活用したツアーが生まれていきます。

それだけではありません。経験豊かな旅行のプロフェッショナルから、さまざまなアドバイスをいただきました。

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(その日水あげした魚だけが並びます。)

日本で初めて漁協が設立した株式会社が運営する「長島大陸市場食堂」では、

●魚が美味しいのはよく分かるのですが、お口直しのデザートもつけませんか。
●冬場は刺身だけではなく、ブリしゃぶも出しませんか。
●お食事を運ばれるときに、一言でいいので、こちらはどういう部位でどういう味がしますとか説明しませんか。
●せっかく漁港に来たので、ブリを捌いている姿を見れるようにしませんか。
●長島町に来るまでの間、バスの車内で、こだわってブリを育てている映像(PR動画)を流しませんか。
●少しでいいのでお土産を買えるようにしませんか。

というような提案をいただき、改善を繰り返しました。最近では、地元からも、「こんなことをやろうと思うのですが、プロの目でどう思われますか。」という自発的な気づきや提案もみられるようになりました。

来るたびに良くなるので、阪急交通社の添乗員さんも熱が入ったのかもしれません。そうしたことの積み重ねで、わずか1年強でお客様満足度1位になりました。

1位というのは望外の喜びですが、振り返れば、

■自分たちの強みや課題を認識して、全てを自分たちだけで解決しようとせず、必要に応じてプロフェッショナルと連携する。

■小さな自治体や組織では、一人が幅広い業務を抱えるため、中長期的な課題がなおざりになってしまいがちであることを自覚して、定期的に外部のプロフェッショナルを呼ぶことで、次回までに「これはやろう」という目標を立てる

改善を早いスピードで繰り返す。PDCAサイクルを徹底的に回す。

ということが良かったのでしょう。
このことは、観光だけではなく、さまざまな分野に応用できそうです。

今度は、阪急交通社のツアー利用客300万人に向けて、長島町の「鰤王」を通販で販売します。1億円くらいは売れるかもしれません。お互いが利益を生みながら、新たなチャレンジを続けていきたいです。

もっと知りたい!
観光の新しい可能性「地域”超”密着」。阪急交通社が長島大陸支店を開設
規格外のジャガイモこそ欲しいもの~シェフと生産者の交流で気づいたこと〜

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<井上貴至 プロフィール>

<井上貴至の働き方・公私一致>
東京大学校友会ニュース「社会課題に挑戦する卒業生たち
学生・卒業生への熱いメッセージです!

<井上貴至の提言>
杯型社会に、求められること


編集部より:この記事は、井上貴至氏のブログ 2017年8月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。