映画「ザ・ファウンダー」マクドナルドが成功した3つの理由

内藤 忍

「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」(写真)という映画を観ました。ひっそりと上映していますが、レイトショーもほぼ満席で、口コミでジワジワ広がっている映画のようです。

1954年にシェイクミキサーの売れないセールスマンだったレイ・クロックに、いきなり8台もの注文が飛び込む。それがマックとディックのマクドナルド兄弟が経営するカリフォルニア州南部にあるハンバーガーショップ「マクドナルド」だった。そんな、実話に基づいたストーリーです。

クロックは繁盛店を見て、兄弟を説得し、フランチャイズによって、全米に店舗を広げていきます。しかし、品質を追求する職人気質の兄弟と利益を追求する実業家タイプのクロックが対立し、最後はクロックが会社の権利を買い取り、ハンバーガー帝国を作り上げていきます。クロックはビバリーヒルズに邸宅を構え大成功。兄弟は新たにハンバーガーチェーンを作るものの失敗に終わる。何ともリアルなアメリカンドリームのお話でした。

この映画を観ると、マクドナルドが世界最大のハンバーガーチェーンになったのには3つの理由があることがわかります。

1つは、兄弟が生み出した革命的な生産方法です。
商品をハンバーガー、ポテト、シェイクに絞り、注文から30秒で商品を渡せるように店員の動線を考えて、店舗のレイアウトを抜本的に改善する。品質を一定にするために、ケチャップを乗せる機械を特注し、ピクルスは2枚、さらに肉の焼き方からポテトの揚げ方までマニュアル化する。

自動車業界がT型フォードで大量生産システムになって一気に生産性を上げたのと同じことがハンバーガー業界で起こった訳です。

2つ目は、クロックがフランチャイズ化して、マクドナルドコーポレーションが自社で所有する不動産をリースするという仕組みを作ったことです。
マクドナルドが不動産を購入し、その土地をリースで貸して、ハンバーガーショップを運営してもらう。空室リスクのない不動産収入が入り、さらに売り上げに応じたロイヤリティ収入も入ってくるという仕組みです。

「マクドナルドはハンバーガーチェーンではなく不動産オーナー」なのです。

そして、3つ目は「マクドナルド」という名前の語感です。
クロックのハンバーガーでは客は寄ってこないとレイ・クロック本人が映画で語るシーンがありました。発音の響きと名前からイメージする美味しそうなハンバーガー。日本人はマックとか、マクドと言っていますが、アメリカ人には「マクダナル」は、とても良い語感のようです。

商品サービス、販売する仕組み、そしてイメージ。3つが掛け算で組み合わされることでマクドナルド帝国が世界に広がった訳です。

英語の映画タイトルは、ファウンダー(創業者)となっていますが、さて、マクドナルドのファウンダー(創業者)は誰なのでしょうか?皮肉の効いた秀逸なタイトルです。

映画が終わるとなぜかハンバーガーが食べたくなりましたが、出かけたのはなぜかマックではなく、映画館近くのシェイクシャックでした(笑)。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年8月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。