日銀は8月16日の国債買入のオファーの際、5年超10年以下の買入予定額を前回の4700億円から300億円減額し4400億円とした。
日銀は7月24日の国債買入で5000億円から300億円減額し4700億円としていたことで、同じ金額の300億円減額となっていたが、市場は今回の減額をサプライズと受け取った。なぜなら減額はいずれあるとしても、200億円として4500億円に戻すとみていたためである。
2016年当初は5年超10年以下の毎回の買入額が4500億円程度であった。しかし、世界的な長期金利の低下を受けてこの年の7月に4300億円に減額した。そして2016年9月30日にも残存5年超10年以下の買入予定額を4100億円に減額した。
今年1月27日に日銀は残存5年超10年以下の買入予定額を4500億円と400億円増額させてきた。これは25日の国債買入での中期ゾーンスキップの代わりに、5年超10年以下を増額した格好となった。しかし、1月末に発表された「当面の長期国債等の買入れの運営について」で残存5年超10年以下の買入予定額の2月初回買入は4100億円と元に戻された。
ところが、2月3日には残存5年超10年以下の買入予定額を4500億円に戻していた。2日の10年債利回りは0.115%まで上昇していたため、それ以上の上昇を抑えるのが目的とみられた。
これに対し3日に日銀は残存5年超10年以下の買入予定額を4500億円に増額したものの、市場は元に戻しただけとの読みとなった。ある程度の10年債利回りの上昇を日銀は容認していると解釈され、債券が大きく売られた。この急激な利回り上昇を受けて、日銀は指し値オペを実施。5年超10年以下の額を4500億円から5000億円に増額した。
その後欧米の長期金利の上昇は落ち着いたことから、5年超10年以下の買入予定額を7月24日ら4700億円に減額し再調整し、8月16日にも再調整したが4500億円に戻すのではなく4400億円とした。
このパターンで行くと来月にも300億円減額し4100億円とすることも予想される。
8月16日の5年超10年以下の買入予定額の減額による影響は一時的なものとなった。むしろその後、10年債は買い進まれ、債券先物も上昇しており、減額規模はさておき、市場はこの減額はかなり想定していたとみられる。そもそもいまの日本の債券市場は管理相場に近く、売り材料には反応しにくい相場となっていることもあるのだが。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2017年8月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。