周囲を豊かな海に囲まれている日本。海外でも人気の高い、日本の新鮮な水産物。しかし、漁獲量の減少と価格の高騰、水産物の安心・安全、食卓からの魚離れ、漁業従事者の減少など、課題は山積しています。
こうした課題は、一つ一つを個別に解決しようとするのではなく、水揚げから消費まで、入口から出口までを一貫してとらえて、「あるべき水産業全体のあるべき姿」を示していくことが必要です。
この7月から、「持続的成長に向けた水産勉強会」を立ち上げ、国際競争力・成長性と持続可能性の両面から、資源管理に加えて、マーケティング及び流通、トレーサビリティー、さらに輸出までを包括的議論を始めています。
7月12日に行われた第1回。大手流通業の皆さんからヒアリングを行いました。
将来に向けて、安定した水産物を流通させていくためには、資源管理が不可欠です。これまで、漁業者の取り組みを促すために、支援の条件に資源管理への取り組みを必須とするなど水産庁も取り組んできていますが、残念ながら基準が緩やかであったり、中途半端に資源管理に取り組んだところで流通時に評価をされないことから、大きな効果をあげることができていません。
今回、初回にあえて流通事業者の方をお招きしたのは、最終的に資源管理の取り組みが消費者や流通側に評価されなければ持続可能ではないと考えたからです。
資源管理がなされた水産物が消費者から評価され、流通事業者も積極的に取り扱うようになれば、自ずから漁業の現場でも「資源管理」が求められることになります。
当日の意見交換では、国内の認証制度(MEL・AEL)のグローバル基準への引き上げの必要性、品質確保のためのトレーサビリティー、消費者の理解促進、そして、嗜好や環境に適応した消費拡大の施策による、漁業者の経営の安定化など、出口論から、そこに至るまでのプロセス全般について、活発に意見交換が行われました。
特に国内の資源管理認証制度(MEL・AEL)についてはこれまでも基準の甘さを強く指摘してきました。その指摘を受けて最近は認証団体の組織を改め、資源管理に対する意識の高い垣添理事長が就任し、GSSIの認証を目指しています。
認証制度については流通業界からの注目も高く、すでに世界的にも認められているMSC・ASCの取得促進と合わせて今後も後押しをしていきたいと思います。
加えて、経営の安定には養殖漁業の重要性、特に農業同様に漁業にも流通業の積極的な参入ができるよう規制の見直しの必要性についても議論しました。
漁業が持続可能になるということは、日本の浜辺での暮らしを守ることにつながり、地方創生はもちろん国境離島を守ることにもつながります。
引き続き勉強会を続け具体的な提案につなげていきたいと思います。
編集部より:この記事は、総務政務官・衆議院議員、小林史明氏(自由民主党、広島7区選出)のオフィシャルブログ 2017年9月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は小林ふみあきオフィシャルブログをご覧ください。