行政事業レビューについて政務三役に伝えたこと

春の行政事業レビューについてアゴラに記事を載せて報告してきた。公開プロセス本番は6月に行われたが、内閣改造があったため政務三役への講評は先週やっと終了した。国土交通省簗和生大臣政務官、農林水産省上月良祐大臣政務官、外務省岡本三成大臣政務官に伝えたのは次の二点である。

各部局は所掌範囲の施策を誠心誠意実施している。しかし熱心に実行するあまり他局・他省の関連施策が見えない場合がある。その結果がいわゆる縦割り行政である。他局・他省との連携を促すことで施策の効果を高めるように働きかける役割は、各省をマネジメントしている政務三役が担う。公開プロセスでは、他局・他省と協力し二つの施策を組み合わせて効果を高めるべきであるとか、二つ合わせて国民に説明し理解を求めるべきといった指摘を行った。ぜひ、その方向に動いていただきたい。

施策は社会的必要性に基づいて設定されており、そのことに疑いはない。しかし、通常、社会的必要性を満たす施策は一つに限られるわけではない。いくつかの候補の中からもっとも効果的、すなわち有効性の高いものが選択されるべきである。さらに、選択された施策は「金に糸目をつけない」のではなく効率よく実施されなければならない。公開プロセスでの各省説明には、必要性にとどまり、有効性と効率性の説明が不十分な場合があった。有効性と効率性を定量的に明示する必要があるという点をより強く意識していただきたい。

第二点に関連することだが、有効性や効率性の定量的評価に基づいて政策を組み立てていくことを「客観的な根拠に基づく政策形成」という。英語ではEvidence Based Policy Making(EBPM)と言い、各国で大きな流れとなっている。そこで、情報通信政策フォーラムでは9月28日に「客観的な根拠に基づく政策形成」についてセミナーを開くことにした。皆様の参加をお待ちします。