複雑すぎる著作権制度を変えよう

ビクターエンタテインメントが「恋ダンス」の動画を削除するように求めている。星野源のヒット曲「恋」で一般人が踊る動画をアップするのが一時ブームになったが、8月末を期限として今後は許容しないという。

「恋ダンス」の振り付けは舞踊の著作物であり、無許可での利用は著作権法違反であるとビクターエンタテインメントは解釈している。著作権法によって著作者は著作物を公衆送信する権利を専有しており、ビクターの主張はこの権利に基づくのだが、「恋ダンス」のブームが過ぎた今なぜ権利を主張するのだろう。

先日、町内会の盆踊りがあった。最後の数曲は人気投票で決まったが、一位は「恋するフォーチュンクッキー」だった。もし、この盆踊りの様子をネットにアップすれば同様に著作権法違反に問われる恐れがある。何とも息苦しい世の中だ。

JASRACが音楽教室に著作権使用料の支払いを求めたことに対して、音楽教室運営事業者が反発し、東京地方裁判所で第1回口頭弁論が9月6日に開かれた。著作権者による音楽教室に対する権利主張は社会的に容認できるだろうか。

音楽教育、初等中等教育、医療、イノベーション等の現場とあらゆる分野で、常識的に考えれば認められて当然の著作物の自由な利用が阻害されている。これに危惧を感じ著作権法の改革を求める有志が声明を出し、僕も賛同者として名を連ねた。

事前規制型の著作権法に権利制限の一般規定がないことが、常識的に考えれば認められて当然の著作物の自由な利用が阻害される原因だと有志は捉えている。著作権制度を簡素で利用を促進する方向に改革するために、有志の活動を支援していただきたい。