不倫騒動:山尾志桜里議員の論点回避のメソドロジー

衆議院解散と選挙が確実視される中で、不倫の疑惑で民進党を離党した山尾志桜里衆議院議員が、いきなり地元選挙区の愛知7区に現れて、支持者の前で次期選挙立候補の決意を述べました。その際に山尾議員は約30分間、マスメディアのぶら下がり会見に応じて、質疑応答を行いました。

私は国会議員の不倫はプライヴェイトな問題であり、追及には値しないと考えていますが、政府・与党に関連したスキャンダル報道に対して説明責任をヒステリックに求めてきた山尾議員が、自らの疑惑に対して説明責任を全く果たしていない【ダブル・スタンダード/二重基準 double standard】には説明責任があると考えています。

これまでに山尾議員の【ダブル・スタンダード】については、ブログや動画などで何度も指摘してきました。

[もしも山尾志桜里議員のガソリン疑惑を山尾志桜里議員が追及したとしたら]
[山尾志桜里議員の政治資金疑惑を民進党議員に追及してもらいましょう]
[山尾志桜里議員へのブーメラン]
[相変わらずの民主党のおバカ質問]

今回の件で特に注目しておく必要があるのが、twitterでも紹介した2016年2月13日TBSテレビ「あさチャン!サタデー」における山尾議員による宮崎謙介議員の不倫に対するヒステリックな非難です。

[参照映像]

育休の普及を主張した宮崎議員の不倫と待機児童の解消を主張した山尾議員の不倫がもたらした社会の落胆は非常に類似していて、両者の事案は少なくとも同列に取り扱われるべき内容であると考えられます。そんな中で、山尾議員は【ダブル・スタンダード】を犯していることもまったく意に介することもなく、再選に向けてあからさまな地元対策を進めていると言えます

【論点回避】

山尾議員の記者会見には、決定的な特徴があります。それは自身にとって不都合な質問が想定される場合に、事前に論点回避の想定問答を数パターン用意しておいて、それを機械的に繰り返すというものです。例えば、ガソリン問題では、記者からの不都合な質問に対しては「双方の弁護士が協議中である。私からは今は何も言えない」という無敵のフレーズを、ガソリン問題を記者が忘れるまで延々と繰り返しました。

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結局、すぐにでも解決可能な事案について山尾議員が説明を行ったのは、2016年の暮れ、問題発生から9ヶ月も後であり、このことを延々と追及していたのは維新の足立康史議員くらいなものです(笑)。

山尾議員は今回もこのような幕引きを考えているのでしょうか、会見における記者の質問に対しても、ガソリン問題の時と同じように、特定の想定問答を想起させるような【論点回避 red herring / ignoratio elenchi / avoiding the issue】を続けました。

他者が示した根拠を不当に無効化して正当な証明を成立させない【論点回避】の方法は主として次の3つに大別されます。

【論点転換 diversion】自分にとって不利な結論を成立させないために他説の議論の論点をそらす
【論点逃避 evasion】自分にとって有利な結論を成立させるために自説に対する反論の論点をはぐらかす
【議論回避 avoidance of discussion】自分に不利な結論を成立させないために議事を理不尽に遅延させる

山尾志桜里議員の論点回避のメソドロジーにはこの3つがしっかりと含まれています。

【ケーススタディ】

ここでは、今回の会見の映像とともに【論点回避】のケーススタディを行いたいと思います。なお、会見の全文は[産経ニュース]に詳細に記されています。

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中京テレビ記者:クローズドになっていたが、支援者にはどういった内容を説明したのか?

山尾議員:少し落ち着皆さんと最初に顔を合わせて、等身大の自分で話をしたかった。

中京テレビ記者:当然地元の皆さんは、マイクやテレビがあると伝えられない思いや聞けない疑問があると思った。実際にそう言った人も多数いた。

山尾議員:皆さんの前で話できることがないということでもない。私の方からは7区の皆さんにおわびの気持ち、何よりも感謝、そして無所属でこの7区にこだわり抜いて挑戦させてもらいたい決意、この3点を伝えた。

マスメディア不在の前半は、ネガティヴな質問も想定される事前打ち合わせなしの支援者とのガチの質疑応答、マスメディア監視下の後半は、事前打ち合わせありの支援者によるサクラの質疑応答であった可能性があります。後半の質疑の内容は、情動的なエピソードをベースとする山尾議員に対する礼賛に近いものであり、マスメディアを戦術的に利用した【プロパガンダ propaganda】である可能性があります。

中京テレビ記者:今回説明まで随分時間がかかっている。もっと早くできなかったのか。

山尾議員:当然の質問だと思う。しかしながら、報道があってから、私は公人だが、一私人である弁護士の家族に大変な心労をかけ、生活面で大変な苦労をかけたのではないかと思う。付け加えるなら、私自身の家族にも生活面で大きな負担を負わせた。幸いなことに私の方は夫をはじめ、両親を含めて信じて支えてもらっていることに感謝しているが、そういった、かなり家族などへの、なんというのかな、嫌がらせというようなものもあったので、少し落ち着いてからではないと地元に戻れなかった。

山尾議員は、他者に対する気遣いを遅延のエクスキューズにしています。善良なる第三者が危害を受けていると、大衆に不合理な同情心を喚起させる【同情に訴える論証 appeal to pity / ad misericordiam】を展開し、遅延させるのは仕方がなかったと主張しています。議員の不倫の相手は基本的に私人であるケースが多く、多くの場合は自分にも相手にも家族が存在しています。そもそも不倫するということは、自分あるいは相手に少なくとも配偶者が存在するということです。したがって、他ケースとの一貫性を考えれば、相手が私人であることを遅延の理由にするのは不合理であり、公人である自分の家族を遅延の理由にするのも不合理です。このような不合理な理由であるにも拘らず、仕方がないかのように装う【論点逃避】の方法を【選択肢要求 there is no alternative】と言います。もし、これを認めれば、例えば宮崎謙介議員もすぐにメディア対応する必要はなかったと言えます。なお、家族への嫌がらせについては当然許容してはいけませんが、そのことと説明を遅延させることとは何の関係もありません。さらに「落ち着かないと地元に戻れない」という【議論回避】は、個人的な都合による【引き延ばし stalling / procrastination】に他なりません。

中京テレビ記者:疑惑追及されてきたが、自身の説明責任について、今回の集会を通じて果たせたと思うか

山尾議員:私自身が言葉にして判断や評価するにはあまりにも現時点で重い状態だと思っている。

自己評価に関わる質問について、山尾議員はYES/NOを表明せずに当事者である自分には自己評価する資格がないと答えています。明らかに説明責任を果たしていない山尾議員がYESと言えないのは当然ですが、NOと言わないのは、NOと宣言すれば将来NOを否定するにあたって必ずYESを宣言しなければならない局面に遭遇するからです。評価するのは地元の皆さんということにしておけば、地元の支援者が説明責任を果たしたと言えばそれで説明責任が果たされたことになります。ちなみに、既にこの日、地元の支援者が山尾議員は謝罪する必要がないと主張しています。山尾議員が不都合な事態を時間をかけてうやむやにする戦術が得意なことは、ガソリン問題・花代問題・コーヒー問題などで実証されています。これらはいずれも【引き延ばし】による【議論回避】です。

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NHK記者:今回立候補を決めた理由、そして選挙戦における一連の報道に対する説明・政策は?

山尾議員:立候補の理由は、今の安倍政権の問題点を国民に提示して解決策を探る仕事を引き続きやりたい。愛知7区にこだわり抜いて政治家を続けたいという思いを改めて再確認した。無所属の戦いになるが、個人の力の結集と安倍政権という大きな権力との戦いという形で私自身を使ってもらいたいと思い、決断した。政策は、待機児童問題を始めとする子育てと介護、そして社会保障と財源の問題を訴えていきたい。

山尾議員は、記者の「政策」という言葉を利用して延々と自身の政治的主義主張を語り選挙宣伝を行っています。これは、会見の時間が有限であることを意識した一種の【フィリバスター filibuster】による【議論回避】です。ちなみに、山尾議員は、徹底的に安倍政権を悪魔化することにより人気を得るポピュリズムを展開してきましたが、これを今後も継続するようです。ただし、安倍政権の倫理(人間性)が悪いことをもって、安倍政権の論理(政策)が悪いと主張してきた【人格論証 ad hominem】はもう通用しないと考えます。自分自身の倫理がポピュリズムのお客さんであった情報弱者に問題視されてしまったからです。なお、山尾議員は、「愛知7区」という言葉を以降繰り返し強調していきますが、これは山尾議員が地元ファーストであることを宣言して地元の機嫌をとる【機嫌に訴える論証 appeal to flattery】です。

東海テレビ記者:無所属での立候補によってこれまでの支援組織による応援を得られない厳しい選挙になる。先を見据えた行動を考えているのか。

山尾議員:個人の力の結集、今、反安倍の受け皿がないと全国でいわれているこの政局の中で、この7区で私がその受け皿になり得るのかを問われる選挙だと思っている。育ててもらった民主党・民進党への感謝の気持ちは今も私の心の中にある。

スキャンダルを起こした自民党議員が一旦離党して事態を沈静化した上で選挙後に復党するパターンを徹底的に批判してきた民進党が、今回は自民党と同じことを行っている可能性があります。もしもこのシナリオが実現したら完全な【ダブル・スタンダード】であると言えます。

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産経新聞記者:7日の離党届提出の際に、読み上げだけで、記者からの質問を一切受けなかった姿勢を振り返ってどう思うか。

山尾議員:あの会見は、報道を受けて、自分自身の中でいくつかの政治家としての選択がある中でさまざまな葛藤があり、かなり少ない時間の中で自分自身迷い、悩みながら離党を決断した。離党という決断も、あの時は東京にいたので、メディアの皆さんを通じて国民の皆さんに伝えるべきだという思いで臨んだ。今回、本当に多くのメディアの皆さんが集まってもらっている中で、申し訳なかったが、まずは地元の皆さんに直接、話をしたいということでお願いをし、理解をしてもらった。今回の報道も含め、地域の皆さんからの厳しい声や、質問をしっかり受けさせてもらい、自分自身の決意も表明したいという思いだ。

産経新聞記者:読み上げだけでなく、なぜ記者の質問を受けつけなかったのか。

山尾議員:今申し上げた通りだ。

山尾議員は、説明責任に関する産経新聞記者の本質的な質問に対して、その質問内容とは完全に異なる質問を勝手に造り、それに対して答えています。これは問題の論点を他の問題の論点にすり替える典型的な【論点変更 shifting to another problem】による【論点転換】です。安倍首相がマトモに回答しても「そんなことは訊いていない」とヒステリックに罵り続けた山尾議員が、質問とまったくかけ離れた回答を自信満々に繰り返す情景はまるでパラレルワールドに迷い込んだようです。

フジテレビ記者:4日間、具体的に誰とどこで何をしていたのか。なぜその場所を会う場所として選んだのか。特に男性のマンションで会ったと報道されているが、その際に男性側の家族はいたのか。

山尾議員:私人である弁護士と家族という一般人がこの報道に触れて、どれだけ辛い嫌な思いをしたか。今もな生活の支障があると推測する。本当に申し訳なく思っている。その中で今の質問だが、このような内容の報道に政治家はどこまで説明責任を負うべきなのかということを、今回突きつけられた。そういう中で私が新たな主張を重ねたり、付け加えたりすれば、さらに先方の家族にも私の家族にも心痛や心労、生活上の支障も続くのではないかという推察をしている。私としては7区の有権者の皆さんに、今日も「何でも聞いてください」という形で尋ねてもらい、その上で私も答えられる限りのことを7区の地元の皆さんには答えた。私が一強政治への受け皿たり得るのかを有権者一人一人の物差し・判断で最終的には通信簿をつけてもらいたいと思っている。

フジテレビ記者:質問にまったく答えていない。4日間、どこで誰と何をしていたのか。相手のマンションで会った際に相手側の家族はいたのか。代表選の決起大会に何時まで出席していたのか。

山尾議員:今、言ったとおりだ。7区の皆さんに判断してもらいたい。

山尾議員は、相手の弁護士と家族が私人であること、および不倫問題に対する政治家の説明責任への疑問を理由に会見を拒んだことを主張しています。ちなみに私は、国会議員が自身の不倫問題について国民に説明することなど必要ないと思っています。しかしながら、待機児童という家族の問題について政府の倫理を厳しく追及してきたと同時に育休を主張していた宮崎議員の不倫を強く問題視した山尾議員[参照映像]の倫理観はそうではないはずです。もしも山尾議員が山尾議員の不倫疑惑を客観的に見れば、山尾議員は不倫疑惑に対して説明責任を果たすべきであるという判断を下すことは自明です。山尾議員の【ダブル・スタンダード】は深刻なレベルに達していると考えます。なお、「質問内容に制限がない七区の有権者がこの点について山尾議員に質問しなかった」ことが、「山尾議員がこの点についての記者の質問に回答しなくてもよい」ことの理由にならないことは自明です。もしもこのことが理由になると山尾議員が主張するのであれば、山尾議員は七区の有権者と記者とを明確に差別していることになります。いずれにしても質問の趣旨と回答の結論が全く一致していないのはあまりにもシュールです。

東海テレビ記者:自身では疑問には答えているという考えなのか

山尾議員:会見で話をしたし、質問に私が主張を重ねていくことは、それぞれの家族にさらなる心痛や生活面での苦労・負担をかけることになる危惧もある。生のやりとりを通じて有権者の皆さんに判断してもらいたい。

先述したように、山尾議員自身の自己評価に関する質問については、山尾議員はこのように答えることになります。

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共同通信記者:一般論として伺いたいが、政治家のあるべき姿として、プライベートと政治家の能力は別だという考えがある。一方で政治家はプライベートも含めて清廉潔白であるべきだという考え方もある。どちらの考えか。

山尾議員:今まさにそういった問題を突きつけられている渦中の当事者である私がその二者択一の質問にこちらだと答えるような状況ではないと思う。

一般論を聴かれた際に「当事者である私が自分の評価につながる一般論には答えない」という回答も事前に用意していたものであると考えます。この回答を使えば、ほとんどの【レトリカル・クエスチョン rhetorical question】を駆逐することができます。このあたりは司法における類似事例を利用したものであると考えられます。

東京スポーツ記者:倉持弁護士は今も政策ブレーンなのか

山尾議員:私自身はこういった状況で地元に戻って地元の一人一人の支援者の皆さんにおわびと感謝と決意、これをひたすら訴えることに集中したい。

これは記者の質問内容をまったく無視した極めて不誠実な不規則回答です。このような論点転換の手法を【チューバッカの弁護戦術 Chewbacca defense】と言います。これでは会見の意味はないに等しいと言えます

フジテレビ記者:不倫関係はあったのか。

山尾議員:会見でも話したように、男女の関係はない。

もしも私が記者であれば「それなら男女の関係がなかったことを証明して下さい」と【悪魔の証明 proving non-existence / evidence of absence】を要求することでしょう。この事案は、大衆に【悪魔の証明】が不可能であることを認識してもらう絶好の機会なんですけどね(笑)

中日新聞記者:議員辞職を考えた瞬間はあったか。地方議員と会って、支援のあり方についてどのような意見が返ってきたか

山尾議員:私の胸中にあったのは7区にこだわり抜いて7区で政治家を続けるとということを改めて確認した上で判断した。たくさんの人からメッセージやメールをもらい、「政治家山尾志桜里をまだ見たい」と言ってくれた。政治家という仕事を通じてその気持ちに応えていきたいと判断した。現時点で、私は民進党7区の地方議員の皆さんにおわび以上のことを伝え、お願いする立場にはないという気持ちを強く持っている。

大衆を惑わす情動的な回答を引き出す典型的なアシスト質問ですね。

日刊スポーツ記者:7区の皆さんに理解を得られたら今回の騒動は禊が済んだと考えるか

山尾議員:選挙に当選すれば政治家のこれまでの全てが、みそがれるとは思っていない。

日刊スポーツ記者:選挙の後で説明責任をもう一度果たすチャンスはあるのか

山尾議員:私自身が選挙に拘わらず謙虚に7区の皆さんに話をし続けるということだ。

山尾議員の考える「7区の皆さん」とは、「すべての7区の皆さん」や「ほとんどの7区の皆さん」ではなく、「山尾議員の支援集会に参集するごく限られた支持者」を指しますが、もしも次の選挙で当選するようなことがあれば、「ほとんどの7区の皆さん」に格上げされることになります。次の選挙で落選すれば、それはそれで無罪放免となります。いずれにしても、選挙後には「自身の禊は済んだ」と山尾議員は主張することになると推察します。。

日本テレビ記者:山尾議員は安倍政権に対して厳しい追及、説明責任に対する追及で名前をあげたと思うが、自身の説明責任について、地元に説明することで説明責任を果たすという考えか。選挙前にどのような行動で説明責任を果たすのか。

山尾議員:直近の選挙戦を通じて愛知7区・地元の有権者・支援者の皆さんに直接説明をし、訴えをし、理解してもらう。限られた時間になるが、そういった活動に全精力を集中させたい。

山尾議員は「7区の皆さん」に支持してもらうことが不倫疑惑の説明責任を果たすことであるかのように勝手にゴールを設定していますが、国会議員に対する評価というのは選挙区の有権者だけが行うものなのでしょうか。残念ながら、愛知7区以外の有権者が、山尾議員に対して直接的に民意を表明することはできません。

夕刊フジ記者:1週間で4回結婚している男性と密会しているとなると不貞行為だと思われて仕方がないと指摘する弁護士がいる。一般論として、法律家としてそのように判断するか。

山尾議員:私自身はこの場に一法律家として立っているわけではない。政治家として立っているし、ましてや今ご指摘の当事者なので、一般論的な質問に答えることを控えたい。一般的に答える立場に私はない。

法律家として立っていないのであれば、今後は選挙のプロフィールから法律に関わる一切の職歴を消去して下さい。なお、国の立法府に属する政治家として立っているのであれば、自分が当事者であるか否かという私的な立場を乗り越えて、公的な立場から法律に関する一般的見解を提示することは当然の責務であると考えます。

ゴゴスマ奥平記者:体調はいかがか。

山尾議員:万全とはいかないが、しっかりとしていると思う

ゴゴスマ奥平記者:山尾議員というと、与党や安倍総理に対して徹底的な追及と議論を求める姿勢がトレードマークだったと思うが、今回の一部始終の答えだと、どうしても責任回避と取られかねない。

山尾議員:「先ほどから重ね重ねメディアの皆さんに指摘を受けているが、今日も地域の有権者の皆さんとの意思疎通ややりとりをオープンにした。本当は申し訳なかった。もっと多くの時間をとりたいという思いもあるし、これからも見てもらう機会はとらせてもらうと思うが、私としては7区の皆さんと直接やりとりをする。報道の件について、私は「なんでも聞いてください、なんでも言いたいことを言ってください」と今日皆さんと向き合ったので、そういった活動を通じて私なりにしっかり話をしていきたい」

ワイドショーらしい不必要な質問です。まるで芸能人と接するように、体調を聞いたり同じ質問を繰り返したりするような人物におかれましては、邪魔しないように後ろの方で静観していていただきたく考えます。

【エピローグ】

この記事では、山尾志桜里議員の【論点回避】のメソドロジーについて、会見における実際の発言を基に分析しました。繰り返しになりますが、私は国会議員の不倫はプライヴェイトな問題であり、追及には値しないと考えていますが、山尾議員の【ダブル・スタンダード】には大きな問題があると考えています。国会議員の資質として重要なのは【論理 logic】と価値基準の【一貫性 consistency】であると考えますが、山尾議員の【論理】に値しない【人格攻撃】【悪魔化】をベースとする討議スタイルと、評価対象によって価値基準を変えてしまう【一貫性】の欠如は、議員資質を明らかに満たしていないものと考えます。

私が考えるに、愛知7区の山尾議員の支援者の方々は、山尾議員のためにも、今は山尾議員をフェアに突き放し、将来の再登板のために自分を見つめなおす時間を与えることが重要であると考えます。今のままの勘違い状態で山尾議員に議員を続けさせることは、国会における政策論議を停滞させるばかりであり、日本社会に大きな不利益を生じさせるものと考える次第です。


編集部より:この記事は「マスメディア報道のメソドロジー」2017年9月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はマスメディア報道のメソドロジーをご覧ください。