ヘッジファンドの運用成績は好調でも「インデックス以下」

美味しい餃子(写真)を久しぶりに食べた先週、世界のヘッジファンドの運用成績が、今年好調だというニュースを耳にしました。

調査機関ヘッジ・ファンド・リサーチが発表しているヘッジファンド全体の運用収益を示すインデックスは、2017年8月まで10カ月連続でプラスで推移しているそうです。これは、リーマンショック前の2006年8月から翌年7月かけての12カ月連続プラス以来の長期になっています。

しかし、プラスのリターンが続いているからといって、運用が好調といってよいのでしょうか?

金融資産の運用能力の評価の基本は「インデックスとの比較」です。

アベノミクスで株価が上昇している時は、株式投資をしているほとんどの投資家がプラスのリターンでした。日経平均のようなインデックスが上昇している時は、誰でも簡単に利益を上げられます。だから運用能力は絶対リターンではなくインデックスとの相対リターンで比較する必要があるのです。

ヘッジファンドの中で「株式型」と呼ばれるカテゴリーの平均上昇率は年初来で8.31%でした。同じ期間の世界株式に連動するETF(インデックス)の上昇率は10%以上。これでは、ヘッジファンドの運用が良好だとは言えないと思います。日経平均が上がっている中で株式投資して利益が上がったのと同じだからです。

ヘッジファンドに限らず、アクティブ運用を行う金融商品の問題は、運用成績だけではなく、手数料にもあります。ヘッジファンドの手数料は、年間の管理料(投資信託の信託報酬にあたります)が2%、成功報酬が値上がり益の20%というのが標準です。運用成績の低下で手数料の引き下げ圧力も高まっているようですが、アクティブ型の商品がインデックス型よりも割高であることには変わりありません。

中には運用成績が良いアクティブ型の金融商品があると思います。しかし、そんな金融商品を事前に見つけることは可能なのでしょうか。

少なくとも、金融マーケットでは個人投資家は機関投資家に比べ、情報収集や資金力では不利な戦いになります。例えば、運用成績の良好なヘッジファンドは投資単位が大きく、紹介などのコネクションが無いと受け付けない場合も多いのです。

それでもアクティブ運用にこだわる理由が良くわかりません。やはり、金融資産の運用の基本はアクティブではなくインデックス。アクティブ運用をするとすれば、自分が平均値に勝てるだけの有利な状況にある金融資産以外の投資対象で勝負すべきです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年9月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。