相手の名刺をみればデキるかデキないかすぐにわかる!

DVDパッケージより

いま、私はあるパーティに参加しているところだ。トムフォードのスーツに、ターンブル&アッサーのシャツ、Eマリネッラのシルクタイ、靴はALDEN(オールデン)を合わせた。会場の視線が熱い。おそらく、来日したてのハリウッドスターにでも間違えられているのであろう。今日のキマりすぎた自分の姿に惚れ惚れとしていた。

キマった男といえば、私は007ジェームズ・ボンドを思い出す。拙著『007に学ぶ仕事術』でも触れているが、ボンドは名刺を所持しているのをご存知だろうか。架空の会社「ユニバーサル貿易」の名刺を所持している。役職は不明だ。「007慰めの報酬」では、黒地の名刺に白文字で「Universal Exports」という表記を確認することができる。

名刺に余計な情報を載せすぎない

私の知人にメールアドレスもケータイ番号も記載していない人がいる。最近のビジネスパーソンの多くは名刺にケータイやメールアドレスの印字は当たり前になりつつある。ケータイの番号はともかくとして、メールアドレスが印字されていない名刺を持ち歩いている方のほうが珍しいだろう。

彼曰く「最初から印字しているとそれが当たり前になってしまう」ことが嫌らしい。彼は別れ際に次のように言う。「名刺には事務所の電話番号だけでケータイの番号が書いてありませんので」「電話だと連絡がとり難い場合がありますのでメールアドレスを」と断りながら手書きで名刺の裏に書き込んでいくのだ。

このように対応すれば、相手は「他の方には教えていない(ケータイ番号やメールアドレス)のに自分には教えてくれた」と思うのでアピールにつながる。特に年配者はケータイが普及する前から所持していたことが多いので、俗にいう珍しい語呂番号を使用している人が多い。ケータイ番号が話題になって話が盛り上がることもある。

これらは、わざと意図した部分が多く常套手段ともいえるが、話のツカミが欲しい人にとっては効果的な手法といえるかも知れない。SNSが普及した結果、自分の名刺に、ホームページやブログ、ソーシャルメディアの情報、自分のケータイ番号やメールアドレスの詳細について記載している人がいる。

最近、よく目にするのがプロフィールを盛りすぎな人。写真もタレントの宣材写真のようにバッチリ決めて「座右の銘」「ビジョン」「格言」が書き込まれている。若手の意識高い系の人に多いが、どうしても違和感を感じる。やはり情報はシンプルで載せすぎないほうが価値が高まる。情報は細部まで気を配ったほうがいい。

学生は名刺を使用すべきではない

最近は名刺を自作している学生が増えた。就活セミナーを開催すると、大学によっては過半数近い学生が所持しているケースもある。しかし、名刺は、詳細情報が詰まっているビジネスツールだということを忘れている学生が少なくない。社会における自分の立場をしめすものである。私は学生が名刺を所持することのメリットをほとんど感じない。

まず、身分不相応に見られる。特に、サークル活動の名刺にはネガティブな印象を持つ人が多い。見かけるのが、イベントプロモーター、オーガナイザーといった横文字の肩書きである。単なるサークルにも関わらず、専務、常務、幹部、副代表と役職のバリエーションも豊富だ。私が見た名刺の中で、悪い意味で印象に残っているものがある。

それは、『エグゼクティブ副社長』という役職が書かれた名刺だった。エグゼクティブは、上級管理職を意味する。本気で付けた肩書きであれば、商法や社会のことを知らない勉強不足な学生だと思われる。このような肩書きの入った名刺を就活に使っているのなら、失礼極まりない。内定に赤信号が点灯することは言うまでもない。

参考書籍
007に学ぶ仕事術』(同友館)

尾藤克之
コラムニスト

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