部下の目標

目標設定ということでネット検索してみますと、「ダメな上司は部下の目標設定がわかってない」(東洋経済オンライン、17年02月23日)といった類の、部下への目標の与え方に関する記事も数多く見られます。

本テーマで私見を申し上げると、例えば数字目標があります。野村證券時代、私自身が営業チームを率いていた時は、部下に目標を常に明示して全体を動かしてきました。それは時として度肝を抜くようなものでありました。

目標の与え方で私は韓非子が言うように、「形」と「名」が同じになるやり方が一番良いと思っています。それは「形(実績)」と「名(目標)」が同じになる「形名参同…けいめいさんどう」の目標設定であって、目標が余りに低過ぎると簡単に目標を超えてしまって駄目です。

人間ギリギリの時にこそ知恵が様々出てくるもので、あらゆる知恵と工夫を振り絞り必死になって努力に努力を重ねた結果、何とかギリギリで達成できる目標こそがベストだと思います。必死に努力しても全く超えられないというものでも駄目です。

事業でも何でも全て同じで、こういう形名参同の世界を作り上げるのが非常に大事になります。そして更に大事なことは、ギリギリに設定した目標を超えた時に、部下に自信が生まれることです。此の自信というものは、とても大切だと思います。

一度自信をつけることに成功すれば、次に困難に直面しても「きっと次の壁も乗り越えられる」と、その自信がより大きな目標を達成して行く原動力になるのです。数字目標がどんどん大きくなるに従って勿論そこには戦略・戦術、そして様々な知恵・汗といったものが必要になりましょう。

自信とは自らに対する信頼であり、困難を克服できた時に初めて本物になるものです。「艱難汝を玉にす」という言葉がありますが、部下に本物の自信を与えたいと思うならば、形名参同の目標設定を行うのが一番でしょう。

目標の達成で、上記の他にも時として良き副産物を齎します。例えば良い人や良い商品、あるいは良い取引先が余計に集まるようになるといった具合です。そうやって自分の内外に生じる良い変化が、次なる目標の達成へと繋がって行くのです。

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