希望の党の第一次公認名簿を見れば、東京と大阪を除けば、ほとんど民進党そのもの。私は『変身希望党』と呼びたい。これでは、国会議員団は一人歩きして、民進党出身者に好き放題されるか、分裂しかねない。維新の党が前回の選挙後にたどったのと同じ道だ。
しかし、東京と大阪ではほぼ民進党は全滅。希望側からすれば十分な理屈はあるが、民進党候補者や末端組織、支持者は納得できるはずがない。そのあたりで、しっかりした説明も、対応策もなかった。
やろうと思えば、小選挙区に小池新党や維新との競合がゆえに出せなかった候補のうち、若干名を比例上位にし、それを誰にするかは、党員サポーターなどのなんらかの投票で決めるとかでも可能だったはずだ。(たとえば非公認者を集めて演説会をして投票で上位二人を比例上位にするとか。あるいは、重複立候補を認める候補を限定すれば、下位でも当選可能性あり)。
特に、あたかも、立候補予定者全員が希望の公認をとれるようなことをいうのは、論外だったし、見通しの悪さを詫びるなら早いほうがよかった。前原氏が、時事通信のインタビューで次のように発言したのはいかにもかずかった。
(枝野幸男元官房長官が立憲民主党を旗揚げし、結果的に民進党が希望の党と立憲民主党に分裂したことについて)「全てが想定内だ。政権交代可能な状況をつくらないといけない。自分の判断は正しかったと思っている」と強調した。
これについて、東京4区から立候補予定だった井戸まさえ氏がこんな風にいっている。まさに、正論だと思う。
ワタクシは代表選挙で、前原さんを支持した。
理由は一点。民進党を分裂させないため、である。このコメントを読み、本当に残念に思う。
それはないよ、前原さん。そして「東京と大阪を立て直すことが、反転攻勢の第一歩である」と代表選挙でもたびたび言っていたのに、このありさま。
政治家に、最も大切なのは「信頼」である。
ワタクシたちは「コマ」ではない。今回の経過の中で感じたのは、たとえ考え方が違っていたとしても、少なくとも、それなりの時間をともに過ごしてきた仲間の、人としての「尊厳」をおかしたということである。
選挙に勝つための戦略もあろう。そこは理解する。しかしながら、ならば、それなりの説明と説得があって良いのではないだろうか。
それは、「立憲民主党」に行く皆だけではなく、
心に痛みを持ちながら「踏み絵」を踏んだ仲間たちにも、
無所属で闘う決断をした人々にも、だ。自分の正しさを語る前に、
皆、痛みを感じる人間であることを、前原さんはよくよく感じるべきである。
ワタクシたちが今回最も辛かったのは、小池氏の非情ぶりではない。前原さんがどうやら本気で、同じように思っている、ということなのだ。これ以上、失望させないでほしい。
そして、二度とALL FOR ALLなんて言わないでほしい。
代表選で前原さんを支援したことを、心から後悔している。
前原氏は、人が「嘘」と思うようなことをいっても自分では「嘘」と認識しないところが以前からある。自分では言い逃れに成功してるつもりでも、誰も納得してないのに気がつかない(小池氏の変身ぶりと似ているとういう人がいるかもしれないが、小池氏は冷徹にマキャベリストとして自覚してやっている)。
その軽さが吉と出る事もないではないが(思い切りが良いという印象なり結果になる事もある。今回も、無事に公認を取れた候補者にとってはそうかもしれない)、コストも大きい。
私は、すでに昨日、書いたように、偽リベラルの巣窟(東京でいえば井戸氏や初鹿氏など本当の意味でリベラルな人も居るから全員そうだという意味でない)である立憲民主党に味方するつもりはさらさらないが、逆に、枝野氏らに正義を部分的にしろ与えたことについて前原氏の責任は大きいと思う。