企業会計原則を理解しない希望の党

山田 肇

希望の党が公約を発表したがその内容に驚いた。10月6日15時時点で希望の党公式サイトには公約が掲載されていないので報道に頼るしかないが、消費税増税を先送りする代替財源として大企業の内部留保への課税を検討するそうだ。

「大企業には300兆円もの内部留保があるから課税しよう」というのは一見庶民受けする政策だが、希望の党は企業会計原則を理解していないと白状したようなものだ。

企業が利益を出すと利益額に応じて法人税が徴収される。このほか配当や役員賞与金などを差し引いた残りが内部留保である。それでは内部留保を企業は預金しているのだろうか。ここに勘違いの源がある。

企業は内部留保を次の事業への投資資金として利用している。設備投資や研究開発投資がなければ企業は競争力を維持できないから、内部留保はその貴重な資金源である。これに課税しようというのが希望の党の公約だが、企業のやる気を著しくそぎ、成長可能性を奪う結果が待っている。

内部留保への課税は庶民の味方を自称する「左翼政党」の看板公約の一つである。それを丸呑みした希望の党がどうして「保守政党」なのだろう。民進党から多くの議員を受け入れる過程で荒唐無稽な政策が公約の中に入り込んでしまった。どうして、このような政党に期待できるのだろうか。