メルマガにきた人生相談より。大きな転換点ではあったけど、当時はそれに気づかずに必死だった、かな。
Q.90年代ってそんなに激動の時代だったのか?
常見先生、こんにちは。1995年生まれです。先生がたまに、Twitterなどで「就職氷河期だと言うけれど、もっと後の代の方が大変だった」「震災、オウム以外にも事件はいっぱいだった」などつぶやいていて、興味を持ちました。
漠然とした質問ですが、90年代とはどんな時代だったのですか?自分が生まれた頃がどうだったのか知りたくて。
安室波平 22歳 男性 大学生
A.悲惨な話だけではなかったですよ
うわあ、これだけで1冊、書けそうですね。
あ、先にオススメの本を紹介します。次の3冊を激しくオススメします。
1990年代論(大澤聡・編 河出書房新社)
私、1990年に高校に入り、1993年に高校を卒業し上京して大学に入社し、1997年に社会人になりました。思えば、高校に入った頃はまだバブルの末期だったのですよねえ。言うまでもなく、世の中の変化を体感してはいました。
一言で言うと、変化に富んだ時代でした。ただ、よく言われる「就職氷河期で悲惨だった」と括られるのは、ちょっと違って。文部科学省の「学校基本調査」や、リクルートワークス研究所の「求人倍率調査」を見ても、2000年代前半より就職率などは良いのですよね。もっとも、これは大卒の話であり。ただ、まだ当時は、就職できない人(しない人)、フリーターは自由な生き方だと認識されていました。自己責任どころか、自己選択のような。そんなことは決してないことはあとで分かるわけですが。
一方、カルチャーではグランジや渋谷系などが出て。で、まだポストバブル期で華やかなノリはあり。それこそクラブもハロウィンも90年代半ば~後半に流行り始め。まだ、クリスマスは大学生でもイタ飯(イタリアンですね)→ホテルでお泊りというデートコースが。
なんでもかんでも、あの時代はかわいそうだったとくくりたがるのですが、その時代時代で人々は変化に向き合っていたのであり。思考停止しないことが大事だと思いました。
今もまさに混迷の時代ですが、人類の歴史は変化の連続です。大学生活もあとすこしかと思いますが、包帯のようなウソに騙されない知性を磨いてください。
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年10月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。