90年代とはどんな時代だったか?

常見 陽平

メルマガにきた人生相談より。大きな転換点ではあったけど、当時はそれに気づかずに必死だった、かな。

Q.90年代ってそんなに激動の時代だったのか?

常見先生、こんにちは。1995年生まれです。先生がたまに、Twitterなどで「就職氷河期だと言うけれど、もっと後の代の方が大変だった」「震災、オウム以外にも事件はいっぱいだった」などつぶやいていて、興味を持ちました。

漠然とした質問ですが、90年代とはどんな時代だったのですか?自分が生まれた頃がどうだったのか知りたくて。

安室波平 22歳 男性 大学生

A.悲惨な話だけではなかったですよ

うわあ、これだけで1冊、書けそうですね。

あ、先にオススメの本を紹介します。次の3冊を激しくオススメします。

1990年代論 (河出ブックス)
大澤聡
河出書房新社
2017-08-28


1990年代論(大澤聡・編 河出書房新社)

1990年代論 (河出ブックス)
大澤聡
河出書房新社
2017-08-28

 

1995年 (ちくま新書)
速水 健朗
筑摩書房
2013-11-07

 

アラフォー男子の憂鬱 (日経プレミアシリーズ)
常見 陽平
日本経済新聞出版社
2013-12-10

 

私、1990年に高校に入り、1993年に高校を卒業し上京して大学に入社し、1997年に社会人になりました。思えば、高校に入った頃はまだバブルの末期だったのですよねえ。言うまでもなく、世の中の変化を体感してはいました。

一言で言うと、変化に富んだ時代でした。ただ、よく言われる「就職氷河期で悲惨だった」と括られるのは、ちょっと違って。文部科学省の「学校基本調査」や、リクルートワークス研究所の「求人倍率調査」を見ても、2000年代前半より就職率などは良いのですよね。もっとも、これは大卒の話であり。ただ、まだ当時は、就職できない人(しない人)、フリーターは自由な生き方だと認識されていました。自己責任どころか、自己選択のような。そんなことは決してないことはあとで分かるわけですが。

一方、カルチャーではグランジや渋谷系などが出て。で、まだポストバブル期で華やかなノリはあり。それこそクラブもハロウィンも90年代半ば~後半に流行り始め。まだ、クリスマスは大学生でもイタ飯(イタリアンですね)→ホテルでお泊りというデートコースが。

なんでもかんでも、あの時代はかわいそうだったとくくりたがるのですが、その時代時代で人々は変化に向き合っていたのであり。思考停止しないことが大事だと思いました。

今もまさに混迷の時代ですが、人類の歴史は変化の連続です。大学生活もあとすこしかと思いますが、包帯のようなウソに騙されない知性を磨いてください。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年10月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。