各党の情報通信関連政策を比較する

山田 肇

衆議院選挙の公約が出揃った。深化する情報社会・知識社会に対応した政策が各党の公約にどう書かれているかチェックした。

自由民主党の『政策BANK2017』は冒頭が「経済再生」で、情報通信関連政策が多く列挙されている。マイナンバーの利活用を推進し行政システムの転換を図る、官民データ活用推進基本法に基づきビッグデータを使える環境を整えるといった短中期的政策から、ロボット・IoT・人工知能(AI)によるイノベーションのような中長期的な政策までが配置されている。

公明党は『2017衆院選マニュフェスト』を発表し、その中にはIoT・AI・ビッグデータなど重点分野の研究開発を官民挙げて推進し2020年度までに研究開発投資の対GDP比4%以上を目指すとの方針が書かれている。そのほか、地域防災対策についてICTを活用した防災・減災対策や研究開発を促進という点にも特徴がある。

日本維新の会の公約は『2017維新八策』に書かれている。「ネット経済時代への対応」としてIoT・ビッグデータ・ロボット・AI等の技術革新を生かせる競争環境の構築のほか、周波数オークション導入のため電波法を改正、遠隔医療の普及に向けた対面診療規制の見直と電子カルテ化の推進、官民における対面・書面交付原則の見直し(ネットを対面に代わるプロトコルとして認める)なども掲げられている。規制緩和を正面に打ち出している点に特徴がある。

希望の党の関連政策は『政策パンフレット』にまとめられている。特区におけるサンドボックス制度の積極的活用、イノベーションハブの整備、AI・ビッグデータ活用・サイバーセキュリティ対策等分野での専門人材の育成、民泊などシェアリングエコノミーの推進、自動運転の実現に向けた規制改革などが掲げられている

これら四党は情報通信を一層活用していく方向で公約を掲げた政党である。公明党が研究開発を、日本維新の会が規制緩和を強調するといった党毎の特徴はあるが、よりいっそう情報通信技術を活用する方向について四党は基本的に一致している。

一方、立憲民主党の『政策パンフレット』には情報通信関連政策への言及はない。共産党は『総選挙政策』で「社会保障の給付削減をねらい、国民のプライバシーを危険にさらすマイナンバー(共通番号)制度の中止・廃止を求めます」としている。社会民主党の『2017年衆院選政策』にも情報通信政策への言及はない。これら三党は、情報通信の活用に熱意を持っていない政党である。