10月11日の東京株式市場で日経平均株価は前日比57円76銭高の20881円27銭で引けた。2015年6月に付けた第2次安倍政権の発足以降の高値を上回り、1996年12月5日以来、約20年10か月ぶりの高い水準となった(11日の日経新聞電子版より)。
米国株式市場では、ここにきてダウ平均、ナスダック、S&P500の主要3指数が過去最高値を更新し続けていた。10月に入ってのロンドン株式市場でもFTSE100種総合株価指数は過去最高値を更新し、フランクフルト株式市場でドイツ株式指数(DAX)も過去最高値を更新している。
日経平均株価の過去最高値は1989年の大納会(12月29日)に記録した38915円87銭となっている。ここからいわゆるバブルの崩壊によって日経平均は大きく崩れた。日経平均が約21年ぶりの水準に回復したとはいえ、欧米の株価指数が過去最高値を更新しているのに比べると日本の株価の上昇ピッチは緩やかなものとなっている。それだけバブル崩壊の後遺症が大きかったとも言えよう。
日経平均のここ21年間の動きをみると、日経平均株価は2003年4月28日の7607円88銭がバブル崩壊後の安値となり、いったん底打ちした。2003年5月の、りそな銀行に対する資本注入によって、大手銀行は潰さないといった意識が強まり銀行株などが買われた。米国や中国などの経済成長などを背景に、日本の景気も徐々に回復し始め、その後上昇基調を強めたのである。
中国など新興国経済の回復により、日経平均は2007年7月9日に18261円98銭まで上昇した。しかし、サブプライム問題に端を発した世界的な金融経済ショックが日本も襲い、さらにそれが沈静化したかしないかのタイミングでギリシャを発端とした欧州の信用不安が襲ってきた。このため、日経平均は2009年3月10日に7054円98銭まで下落し、バブル崩壊後の最安値を更新。その後も2012年末あたりまで低迷が続くことになる。
米国のダウ平均の推移をみてみると2009年3月あたりからじりじりと上昇基調となっていた。この流れに日経平均が乗れなかったのは、バブルの後遺症だけでなく、世界的な金融経済リスクに対するリスク回避の動きで、急激な円高が進行していたことも影響していよう。しかし、その世界的な危機が後退しつつあったタイミングでアベノミクスが登場し、リフレ政策を受けたヘッジファンドなどの仕掛けも手伝い、円高の急激な調整が入り、日経平均も回復基調となった。
その後、日本経済は緩やかながら回復基調が継続した。これには米国経済の回復、懸念された中国など新興国経済の落ち込みが大きくなかったことなども上げられよう。それでも欧米の株式市場が過去最高値を更新していることについては謎ともいえる。もしその背景に日米欧による非伝統的な金融政策、特に異常な規模の量的緩和策の影響があったとすれば、FRBの正常化も進みつつあり、ECBも緩和縮小に舵をとりつつあり、日銀も実質的なステルス・テーパリングを行っていることで、いずれピークを迎えることも予想されるのである。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2017年10月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。