本年(2017年)4月から神戸市が、職員の副業を推進している。
(8月から奈良県生駒市も同様の規定を設けた。)
具体的には、
1)社会性、公益性が高い
2)特定団体の利益供与に当たらない
3)勤務時間外
4)常識的な報酬額
などを明記して、職員が休日にNPOで活動したり、ソーシャルビジネスを起業したりすることを促すものだ。
とてもいい流れだと思う。
もはや終身雇用は当たり前ではない。終身雇用を前提とした制度は見直すべきだろう。
また、超高齢社会を迎えるにあたり、定年までがむしゃらに仕事をする/定年からは全く仕事をしないという白黒両極端ではなく、緩やかに仕事を減らしていくグラデーションが求められる。少し体力が衰えたから、3つある仕事を2つにするとか、2つある仕事のうち1つの比重を下げるとか。
これまで1つの仕事だけに打ち込んできた人が、いざ定年を迎えて仕事がなくなり、いきなり家族と、あるいは地域で、趣味で、過ごしなさいと言われても困惑するだろう。家族や地域、趣味ももちろん有意義なものだが、仕事とは質が異なる。
さらには、地域のさまざまな起業・創業を促す観点からも、兼業はとても大事だ。いきなり会社を辞めることはリスクが高く、十分な担い手が生まれない。兼業を認めることで、起業・創業のリスクを減らすことができ、地域経済の活力につながる。
もちろん、信用失墜行為や守秘義務違反をやってはいけないことは社会人として当然のことだが、それらを恐れるあまり兼業は絶対禁止というのはもったいないし、兼業することで考え方や付き合う人の幅が広がり、それが本業にも生きてくるという相乗効果もあるだろう。
働き方改革というならば、
例えば、週3日勤務、午前中だけ勤務というさまざまな働き方も、いわゆる正社員にも柔軟に認めたらどうか。
さらに考えれば、勤務時間でしばるというのは、19世紀の工場労働者の名残かもしれない。21世紀は、プロジェクトベースで考えることも大切ではないか。
プロジェクトベースの考え方が普及すると、「主」と「副」ではなく、パラレル(「複」)の働き方が定着するだろう。そして、それは、本人の希望や適性がより生かされやすいHappy Working(福)に通じるのではないか。
副業 → 複業 → 福業(Happy Working)!
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<井上貴至の提言>
間抜けな行政に、旬の秋刀魚を!
編集部より:この記事は、井上貴至氏のブログ 2017年10月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。