髪を染めはじめてもう30年くらいになる。学生時代は、髪がピンクだったこともある。会社員時代も染めていた。現在もメッシュを入れた上、13番か14番(最も明るい)のヘアカラーで染めている。もともと、ロックやプロレスが好きだからそうしている。「逸脱」とは何かを身をもって学ぶためでもある。ヘアカラーの他、筋トレ、日焼けにより硬派なイメージを醸し出すようにしている。討論する際などに舐められないし、講義中の私語も減る。ナイスな投資だと思っている。
それはそうと、耳を疑うような事件が大阪の府立高校で起こった。大阪府羽曳野市の府立懐風館高校3年の女子生徒が、頭髪が生まれつき茶色いのにも関わらず、学校から黒く染めるよう強要されていたのだ。精神的苦痛を受けたとして約220万円の損害賠償を府に求める訴えを大阪地裁に起こした。毎日新聞などが報じている。
<損賠訴訟>「髪染め強要で不登校」高3、大阪府を提訴(毎日新聞)
時代錯誤も甚だしい。人権無視の蛮行が強引に貫徹されたのだ。満腔の怒りをこめ、一点の曇りもなく断罪する。黒髪ナショナリズムに死を!いまこそ、怒りのこぶしを叩きつけよ!全国の怒れる市民よ、たたかう隊列をうち固めよ!
大阪府は40年以上前に万博を開いたのにも関わらず、この社会の変化をわかっているのか。日本人の髪の色や肌の色は多様なのである。国際結婚が増えているだけではない。両親ともに日本人であっても、これらは多様であることは明らかだ。
この現実から目を背け、生まれつきの髪の色が違う者の気持ちを歯牙にもかけぬ傲慢な言動に走った府立懐風館高校の教員たちは弾劾されてしかるべきである。指をくわえて見て見ぬふりをしていた大阪府関係者も同罪だ。彼らは生徒たちの思想上の個性どころか、身体的な違いをも踏みにじる凶行にうってでたのだ。まるで、生徒たちを画一化する、黒髪ナショナリズム国家に雄飛させることに血眼となっているようだ。
すでに、大阪府や同校に対する怒りは燎原の火のごとく燃え広がりつつある。不満と不信が鬱積している。今頃、同校の教職員や、大阪府の関係者は怒りと反発の直撃をうけて顔面蒼白だろう。
髪の色が生まれつき違うものがいるにも関わらず、黒髪を強要することのメリットは何なのか。さらには、髪の色が同じであることの、科学的な効果は何なのか。論拠は何なのか。同校関係者や府の職員に問いただしたい。現実を虚心に直視し、真摯に省み、敬虔な反省を持つべきだ。
黒髪至上主義に、死を!価値観以前の、人間の身体上の違いを踏みにじる蛮行、凶行を断じてゆるすな!
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年10月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。