質問時間配分は議席数が基準でも、得票比率は考慮されても良い

音喜多 駿

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

政治関連のニュースでは、こちらの報道が昨日あたりから議論を呼んでいます。

野党の衆院質問時間、削減検討 政府・自民、配分で:朝日新聞デジタル 

衆院予算委員会は現在、与党2割、野党8割の割合で質問時間が配分されている。割合は変動するが、野党に多くの時間を配分することを慣例としてきた。法案について与党は国会提出前に政府から説明を受け、了承しているためだ。

衆院予算委員会って、与党:野党の割合が2:8だったんですね…すごいな!というのが最初の感想です。

都議会の場合、基本的に質問時間は「議席数」に比例して配分されます。例えば全体の質疑時間が180分で、自民党の議席が5割だとすれば、90分は自民党の持ち時間になるわけですね。

ただ、単純に議員数で割り算していくと、少数会派の持ち時間が3分とかになってしまうときがあります。

そういう場合は、議会運営委員会などの話し合いで大会派(与党サイド)が「譲歩」して、5分なり10分なりの質問時間を少数会派に分け与えるのが慣習となっています。

なので、地方議員である私の個人的な感覚でいうと、今回の自民党サイドの提案はそこまで理不尽で突拍子もないものとは思いません。

確かに都議会においても、知事与党の質問は追及型ではなくあまり本質的ではないと感じることは確かですが、彼らも民意を受けてその議席数を確保しているわけですから、その立場で行う質問内容は尊重されるべきです。

それに身も蓋もない話をすれば、「与党の質問なんて、事前調整しているから意味ねーだろ」と言って削ってしまえば、色々な建前が吹っ飛んじゃいますからね…。(ボソッ)

ただし、「地方議会と国会の違い」は考慮に値するかなと思います。それは、選挙制度の違いです。

都議会などの地方議会の選挙制度は中選挙区制であり、おおむね獲得票数が議席数に連動することが多く、議席数で質問時間を配分することが「民意」というロジックが成立しやすくなっています。

一方で、よく指摘されるように小選挙区制がメインである国政選挙では、実際の獲得票数・比率に対して議席数が強く出ます

自民、得票率48%で議席75%=死票最多は希望【17衆院選】:時事ドットコム 

これを引いてよく「自民党が国民の民意を受けているわけではない!」という主張がなされるわけですね。

そうは言っても国民から最大の信託を受けていますので、現行制度のおける議席数は議席数として民意の反映とするのが妥当だと思いますけども、これは質問時間の配分にあたっては考慮されても良いのでは?と。

実際のすべての得票比率、あるいは比例代表における得票比率で時間数を配分すれば、概ね与党:野党が4:6あるいは3:7程度の比率で落ち着くはずです。

立憲民主党の枝野代表などは「一切の妥協の余地はない」とされているようですが、このあたりが議論の落とし所になりえるのではと個人的には感じた次第です。

皆さまも、「議席と民意」「質問時間の配分と民意」について、これをきっかけに一考いただければ幸いです。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏のブログ2017年10月30日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。