10年位前、アマゾンで書籍を買うと、1500円以上で送料無料となりました。
本を出版する側も、送料無料でたくさんの人に買ってもらうため、何とか1500円に価格を設定すべく努力をしたものです。
ところが今や、アマゾンだけでなく楽天ブックスもヨドバシ・ドット・コムも価格に関係なく送料無料となりました。
電化製品も価格比較サイトができたため、(送料や支払い方法の違いはあるものの)最安値で買うことができます。
車の買い替えの際、それまで乗っていた車を下取りに出すと、唖然とするような安い価格を提示されることがありました。
実際、私は、1万円と5万円という下取り価格を提示されたことがあります(1万は蹴りましたが、5万は止むを得ず飲みました)。
安い価格で下取りをして、相応の値段で売ることがディーラーのひとつの収入源だったのです。
今は、中古車のオークション市場が整備されたこともあり、中古車買取業者に依頼すれば従来よりはるかに高額に売ることができます。
このように、ひと昔では考えられないような「消費者天国」時代になったのは、ひとえに情報通信技術(IT)の進歩によるものです。それまでブラックボックスであった企業の「おいしい利益」が透明化されて薄利化が進んでいるのです。
当然のことながら、企業側はコストを最小限に抑えて「多売」をすることで利益を確保しようとします。
従業員の賃金が上がらない理由の一つなのかもしれません。
中には、どさくさに紛れて「少額」を幅広く集める詐欺まがいの商法もあります。
リボルビング払いの手数料(年利にすると約15%)をはじめ、カード明細のペーパレスが進んだことから、知らないうちによくわからない少額が引き落とされることがあります。
私自身、ズボラな性格がたたって、月490円くらいの金額を毎月10年以上支払わされていたことを知り、愕然としました。
明細書が送られてこないので、逐一チェックしないことを利用した悪質な商法です。
悪質な商法は別として、これからの一般消費者相手のビジネスでは「薄利多売」がますます進んでいくことでしょう。
実質的なデフレです。
かつて、弁護士報酬は日弁連が報酬基準を作成していました。
地方の弁護士は、依頼者の支払い能力が乏しいこともあり、報酬基準の半額以下で事件を受任していたものです。
名古屋の某弁護士によると「あの基準どおりに取っているのは東京の弁護士だけだ。手持ち事件が少なくて経験値が少ないのに…」とのことでした。
そういえば、東京の某社が競売手続きを某法律事務所に依頼したところ、数千万の弁護士報酬を支払ったと耳にしました。当該土地の上モノは某社が占有して使っているので、アホでもできる仕事です。
土地の価格を基準にしたのでしょうが…。まあ、こういった悪質な商法もいずれ消えていくのでしょうねえ~。
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年11月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。