熊本県北部の南関町(なんかんちょう)。
人口約9400人、予算約60億円の町で、今、総額45億円かけた巨大投資が進んでいる。
日本では珍しい竹の利活用のための工場だ。バンブーフロンティア(株)、バンブーマテリアル(株)の代表の山田浩之(やまだこうじ)社長に、竹ビジネスの未来について伺った。
山田社長:
「井上さんに持ってもらっているのがチップを加工したナンカンボード、私が持っているのが繊維を加工したBamWood。ナンカンボードは家具や机板、住宅用床下地材や耐力壁などに、強度が強いBamWoodは、フローリング、トラック床材、家具・建具など幅広く活用できます。」
「いつも説明できるように持ち歩いているんですよ(笑)」
地域のミツバチ:
「バイオマス事業も含めると3社で総額45億円の投資。よくこれだけの投資の決断ができましたね。」
山田社長:
「荒れた竹林が、全国で社会問題になっています。その解決の道筋をつけたいという使命感です。」
「今、南関町にはさまざまな技術者が集まっています。これまで竹の燃焼時に発生するクリンカがボイラの内部に付着しその後の燃焼を阻害するためバイオマス燃料として不向きと言われてきましたが、私たちは、クリンカが発生しにくい技術も開発し、オーストリアなどで実証実験も行いました。このメンバーでできなければ、日本ではもうできないとすら思っています。」
「110名の直接雇用を見込んでいますが、それだけではなく、南関町や周りの市町村から竹や竹チップなどを買い取りますので、地域経済が循環していくモデルです。」
(BamWoodでできたテーブル。高級木材と変わらない重厚感がある。)
地域のミツバチ:
「もともとは、何をされていたんですか?」
山田社長:
「家業の砂利採取業、建設業を継ぐだけでなく、教育(明光義塾)、ノリ養殖、太陽光発電など時代を見据えて幅広く手掛けています。しかし、今回はリスクがあるので、敢えてグループとは切り離して、個人で20億円保証しました。」
「でも、工場ができる前から、工務店などに販路が確実に広がっています。最近、木材の輸入は制限が強化され、価格が上昇しています。その上、木材は生長まで数十年かかりますが、竹はとても生長が早い。これからは、竹の時代が来ると信じています。」
(BamWoodでできたデッキは、木でできたものと比べても耐久性があるという。)
山田社長:
「竹あかりを新たな日本の文化にするというミッションを掲げている熊本発のベンチャーCHIKAKENも、南関町に拠点を移しました。南関町を竹の一大拠点にしたいです。」
「でも、南関町だけで日本全国は対応できません。四国にも中国にも拠点があればいい。チップからボードをつくるだけの工場ならば10億円もかかりませんから、全国に竹の加工拠点が広がればと思っています。」
(CHIKAKENの竹加工品。曲がった竹は3Dプリンターでは加工できず、全て手作業。独特の美しさからデザイン&ストーリー列車「ななつ星」にも採用されている。)
また工場が稼働したあとに足を運んでみたいです。
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編集部より:この記事は、井上貴至氏のブログ 2017年11月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。