【映画評】KUBO/クボ 二本の弦の秘密

遠い昔の日本。クボは、三味線の音色で折り紙に命を与え、自由に操ることができる不思議な力を持つ少年。かつて闇の魔力を持つ祖父に狙われ、彼を助けようとした父親は命を落とした。母と共に最果ての地まで逃げたクボだったが、祖父が放った更なる刺客により母までも失ってしまう。追手から逃れながら父母の敵を討つことを誓ったクボは、面倒見のいいサルと弓の名手であるクワガタと共に旅に出る…。

折り紙を操る不思議な力を持つ少年クボが自らの出自を探りながら壮大な冒険を繰り広げるファンタジー・アニメーション「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」。「コララインとボタンの魔女」などを手掛けたアニメーションスタジオのLAIKA制作によるストップモーションアニメは、圧巻の映像美で見るものを魅了する。日本に固執すると「?」な部分もあるのだが、ここは正確な描写ではなく、昔話やおとぎ話の中の日本というとらえ方がが正解だろう。そこに欧米特有の神話的なファンタジーが加わる。抽出されるエキスは、わび・さびのテイストだ。

独眼の少年クボの敵討ちの冒険の旅は、優しさと強さを兼ね備えたサルに母性を、お調子者だがいざという時には頼りになるクワガタに父性を投影しながら、いつしか最愛の母がかつて犯した悲しい罪と深い愛にたどり着く。単なる悪者退治や復讐ではなく、許しというフィルターを経て、物語を語り継ぐことの素晴らしさに至るストーリーは、近年のアニメーションの中でも出色だ。芳醇なヴィジュアルはため息が出るほど素晴らしい。幻想的な折り紙や切り絵が流麗に舞う様は、浮世絵や黒澤映画、宮崎アニメの影響も見られ、日本文化へのリスペクトが感じられる。3秒作るのに1週間かかるというストップモーションアニメは、気が遠くなるような職人技に支えられている。極上の芸術品に酔いしれる103分だ。
【80点】
(原題「KUBO AND THE TWO STRINGS」)
(アメリカ/トラヴィス・ナイト監督/(声)アート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、他)
(イマジネーション度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年11月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。