2017年11月21日、妹の聡香(仮名)が両親を推定相続人から廃除した旨記者会見を行いました。この件に関し、わたしがどのように考えるかというご質問をいただいておりますので、簡単に書かせていただこうと思います。
麻原彰晃・死刑囚の四女が訴える 「親と縁を切れる制度を」(ハフィントンポスト)
父の四女であり、妹の聡香(本人が利用している仮名)が大変な境遇で育ち、今も大変だろうということを否定できる人はいないでしょう。わたしは当事者が望むなら、親と縁を切れる制度はあった方がよいと考えています。ただし、病気で何も語れない父に、ありもしない虐待という濡れ衣まで着せる必要はあったのでしょうか。
誰かの虚偽の発言や情報を放置していると「事実だから反論がないのだろう」と取られることが多いようです。妹のことなので黙っていようかどうしようかとと悩みましたが、妹がついている嘘に関して、わたしが知っている事実に少しだけ触れておきます。
片方だけの情報ではどうしても偏ってしまうし、記録を残しておくこと自体にも意味があると考えるからです。
どうも、わたしが特別父に大切にされ、妹は冷遇されたから父に憎悪を向けている、という誤解があるようです。
実は、彼女はわたしよりも霊的に優れた力を持っているとされ、大切に、お姫様のように育てられました。
父はときどき、自分の子どもや他の教団の子どもたちのおもちゃを買いに行っていました。
頭を使ってパイプを組み立てたら、ジャングルジムや簡単な滑り台、秘密基地を作れるおもちゃや、空気を入れると巨大な地球儀になるビニールボールなど、子どもが少しでも頭を使えるようなおもちゃを好んで選んでいたようです。レゴブロックもありましたね。
ある日、おもちゃを買いに行った父は、妹個人にディズニーのお姫様のドレスをプレゼント!
上の三人の娘は父からかわいい服をもらったこともなかったので、本当にびっくりしたものです。父がドレスですよ(゜ロ゜)。
ちなみに、わたしや姉の宇未はおさがりばかり着せられていました。パンツまでお下がりだったことも(笑)!
でも妹は、新しい、かわいらしい服を買ってもらっていました(心配してくださる方もいらっしゃいますが、わたしは、教祖の娘でもお下がりを着せられていたことに誇りを持っています)。
妹は、オウム真理教で指定されているもっとも高い宗教的階位を、父に認められていました。
妹は家族の元を離れたあと、父からもらったこの宗教的階位を盾に、教団のトップに立とうとしています。
妹が父から冷遇されたという事実は、存在しません。オウム真理教の生活そのものが虐待だったとか、それ以外のことで虐待という評価があったとしても、妹が語るような虐待の事実はありません。具体的には今回報道されている陶器の破片が入ったオムレツ、薄着で何時間も寒い中立たされるといった「虐待」は、あり得ません。
その遊びは安全なのか? 体調はどうか? 病気は大丈夫か? と心配性だった父が、妹にそんなことをさせるはずもありません。妹が高熱を出したときは、つきっきりで看病して、飲み物を飲めなくなったら命の危険があるからと「飲まないなら、点滴するしかなくなるぞ。頑張って飲むんだ」と一生懸命に飲ませていました。
父は病気で反論できません。わたしが面会を申し込んでも、面会に応じることもできません。今、父は極悪人とされています。
極悪人の悪口を言ったら、社会の賛同を得られる。妹も父を、自分まで虐待したひどい人だと悪口を言えば、もっと生きやすくなると考えているのかもしれません。マスコミが作り上げた父像に合致した嘘をつけば、世間受けはいいのだと思います。やっぱりそうか。四女だけはまともだと思われる方もいるのでしょう。しかし、と思います。父が病気で反論することができないからと、ありもしない物語を創作することは本当にいいことなのでしょうか。
父が妹に示した愛情は、当時の写真を見てもわかります。妹を抱いた父の穏やかな笑顔。妹のほ乳瓶を持っている父。父は、ちょっと子煩悩でした。
父は妹を愛していたし、妹は父に甘えていました。普通とは少し違ったかもしれないけど、妹と父は親子関係にありました。それがわたしの知る事実です。
わたしは事件から10年経てば、普通に生きられると夢を見ました。しかし、生きやすくはなりませんでした。では、20年経てば変わるのではないかと夢を持ちました。20年後待ち構えていたのは、公安調査庁による本団体の実質幹部認定だったのです。それでもと、わたしはまた夢を見ます。25年経てば、父は治療され、わたしは自由になっているかもしれないと……。
もうすぐ年の瀬ですね。みんなが穏やかに生きられる世の中になりますように。
編集部より:この記事は、著述家、カウンセラーの松本麗華氏の公式ブログ「お父さん分かりますか?」 2017年11月23日の記事を転載させていただきました。オリジナルブログでお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。