赤ちゃん連れで市議会に参加した緒方市議を、自民党が与党を占める熊本市議会は「処分」するそうです。
彼女の訴えに対して、
「ではどうやったら、子育てをしている議員も市政に参加しやすくなるだろう」
「多様な議員を巻き込み、議会の意思決定の質を最大化していくために、何ができるだろう」
ということを考えるより前に「けじめをつけさせる」ことを優先する。
これが我が国の地方議員のレベルか、と嘆息しました。
沖縄県北谷町の事例
一方で、沖縄県北谷町では、このような事例がありました。
宮里議員、娘と登庁 控室を保育スペースに 北谷町議会、全会一致で実現
宮里さんは、今年5月に長女たらちゃんを出産した。6月定例会は育児を優先し欠席したが、7月の臨時会から復帰、臨時会中は家族に娘を見てもらった。しかし終日行われる定例会は、育児と活動を両立できるか不安も抱えていた。
9月定例会前に、宮里さんが議会事務局に相談し、事務局は「女性議員が働き安い環境づくりにつながる」と保育スペースを提供する方針を固め、町議による全体協議会が全会一致で了承、実現した。
熊本の緒方市議と全く同様に、事務局に相談し、緒方議員はけんもほろろに突っぱねられ、宮里議員は「女性議員が働きやすい環境づくりにつながる」と保育スペースを提要する方針を固めたそうです。
ここから分かるのは、
「神聖な議会なんだから、子どもなんて連れてくるな」
「赤ちゃんが泣いたら、議論に集中できなくなる」
なんていうのは、単なる排除の論理でしかない、ということです。
今必要なのは「処分」ではない
熊本市議会、特に議長である澤田昌作(自民党)議員のやるべきことは、処分でも謝罪を求めることでもありません。
熊本市議会は子育てしている母親を排除するような場ではなく、工夫と柔軟性によって、誰しも参加できる場所なんだ、ということを証明することです。
そして市議会だって変われたんだから、熊本の企業や地域社会も、子育てフレンドリーな場所に変われるんだ、みんなで変わっていこうよ、とリーダーシップを取っていくことです。
熊本市民の皆さんも、このまま49人の市議会で、女性がたった3人しかおらず、圧倒的多数の男性たちが、1人の女性を「ルール違反だ!処分だ!」と取り囲んで攻め立てる、という構図を放ったらかしにしておいて良いのでしょうか?
この機会を生かして変われなければ、熊本は、いや日本の地方議会はいつ変わるのでしょうか?
最後にヨーロッパの議会の写真を貼っておきたいと思います。
ヨーロッパの人々にできて、我々にできないことなんて、あるのでしょうか?
(写真引用:AFP=時事)
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2017年11月28日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。