昨日の記事『雇い止めは民主党政権の責任!』について、労働契約法の改正を推進した議員は誰かとの問い合わせがあった。立憲民主党に移った長妻昭衆議院議員がその一人である。
短期雇用の繰り返しが社会問題になっていた2010年に厚生労働大臣として行政監視委員会に出席し、日本共産党山下芳生議員の質問に対して、労働者の将来計画もあるので「必要以上に短い期間を定めて反復する」のは好ましくないと答弁した記録が残っている。この質疑が行われた通常国会では「労働者派遣法」改正案の主務大臣として長妻議員は日雇い派遣を原則禁止とした。
2012年には民主党政調役員会に厚生労働部門会議座長として出席し、労働契約法改正案の説明をしている。これが5年を超える有期労働は無期労働契約に転換できるという法案で、8月に可決成立した。
長妻議員を支持する勢力もある。NPO派遣労働ネットワーク理事長の中野麻美弁護士は2015年に民主党共生社会創造本部に招かれ、民主党政権下での労働契約法の改正等を「画期的な改革」と評価する一方、安倍政権による労働者派遣法の改正を「改悪」と批判した。安倍政権による改正は第25条で「派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とする」と明文化したものだった。
長妻議員は2016年の通常国会予算委員会で労働契約法は契約成立後の「出口規制」であり、次には、有期雇用はイベントなど期限がある職務に限定して他は無期雇用を原則とする「入口規制」を実施すべきと塩崎厚生労働大臣に迫った。
長妻議員は無期雇用原則を企業に押し付ければ守られるものと信じているが、無期雇用のリスク回避に動く企業が多いと気づいていない。5年を超えたら無期雇用と強制されれば、5年未満で契約を解除し他の労働者を短期雇用する。入口規制をすれば「期限がある職務」を多くするように動く。塩崎大臣にも「こうしたルールは、有期労働契約を利用できる合理的な理由に該当するか否かをめぐる紛争を招きやすい」と反論された。
このような論理的説明を理解できないのが長妻議員である。