アゴラ出版道場を開講していることもあり、今年も多くの献本をいただいた。今回は、日本一早い(たぶん)ビジネス書ランキングを作成した。昨年は作成していないので2年分の献本が対象となる。これは、社会性などを勘案し筆者が独自に作成したものであり、ヒット作に限定していない。独自ランキングにて恐縮だがご容赦いただきたい。
「世の中に埋もれている優れた本を発掘すること」を目的としているので、著名人、ベストセラー作家でなくても、魅力的な内容であれば可能な限り紹介するようにしている。また、掲載基準について質問されることが多いが、「世に問いたいテーマが明確であること」を重視している。今回は、「一般」「専門・その他」「若手」の3つに分類している。
正確に記するなら、私が書いているのは書評ではない。書籍の内容を元に著者や編集者に対してヒアリングなどを行い、一部を引用しながらまとめる方式をとっている。イメージとしては、ルポルタージュが近いが、昨今ではルポルタージュという言葉を使用しないようだ。とりあえず、「ブックルポ(BookRepo)」とでも命名しておく。
書籍ランキング(一般)1~10位まで掲載
※幅広くおすすめできる作品。
1位『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』(大和書房)
脳科学系の本では突出したクオリティである。精神科医・樺沢氏は、脳科学をベースにした、仕事術、時間術の本を数多く出しているが、本書が代表作である。
2位『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)』(あさ出版)
過労死・過労自殺する人の心理状況をわかりやすく解説し、人生を大切にするための方法と考え方を書き下ろした。社会的に意義のある作品である。
3位『全ての病気は「口の中」から! 』(さくら舎)
キラーサイエンスといわれる「歯周病」のメカニズムをわかりやすく解説。口のなかの状態が健康に影響を及ぼすという考え方が斬新。医学界もこの流れになりつつある。
4位『説得の戦略 交渉心理学入門』 (ディスカヴァー携書)
弁護士と聞くとなにやら難解な書籍をイメージするが、本書は私たちの日常に潜んでいる危険性や、対処方法についてわかりやすいく解説してある。
5位『食べても食べても太らない法』(三笠書房)
世の中にはびこるあやしいダイエット法に警鐘。食べ物の組み合わせや、食べ方でカロリー摂取が大きく変わることを説明した。管理栄養士ならではの洞察が興味深い。
6位『殴られて野球はうまくなる!?』(講談社)
高校野球で蔓延する暴力についてスポーツライターらしい論考で解説した。単に暴力を否定するのではなく、高校野球のあり方や監督のマネジメントに着目した作品。
7位『京都花街の芸舞妓は知っている 掴むひと 逃すひと』(すばる舎)
一般的には馴染みの薄い京都花街の世界をわかりやすく解説。京都花街に伝わるルールやしきたりのなかで、私たちビジネスパーソンに役立つものを紹介している。
8位『接客の一流、二流、三流』(明日香出版)
JALの元CAが、自らの経験を踏まえたうえでの、接客方法をまとめた。私はこのような失敗をしたという事例も紹介されており、読者目線で受け入れられやすい仕上がりである。
9位『何があっても必ず結果を出す! 防衛大式最強の仕事』(あさ出版)
防衛大は 各自衛隊の幹部自衛官となる者を教育訓練する大学。そこでの生活やルールはあまり知られていない。そのなかでビジネスパーソンに役立つ仕事術を紹介した。
10位『また会いたい!と思われる人になる』(WAVE出版)
異業種交流会は参加するだけ時間のムダ。また単に名刺を交換しても人脈にはならない。そんな迷えるビジネスパーソンに投げかけたコミュニケーション術。
書籍ランキング(専門・その他)1~5位まで掲載
※専門性が高い、もしくは一般に含まれない作品。
1位『キラーストレス 心と体をどう守るか』(NHK出版新書)
今年、大ブームとなったマインドフルネスの火付け役になった本。若干専門性が高いため「専門」カテゴリにプロットした。
2位『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬舎新書)
食品ロスの問題にフォーカス。データを交えて賞味期限はウソであることを解説した。
3位『蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた? 』(ワニブックスPLUS新書)
各メディアの機能や役割を整理したうえで、ネット媒体のあり方を解説した。
4位『太陽と呼ばれた男―石原裕次郎と男たちの帆走』(青志社)
史実の中に封印されていた石原プロと『西部警察』秘史がまとめられた作品。
5位『自衛隊元最高幹部が教える経営学では学べない戦略の本質』(KADOKAWA)
「シン・ゴジラ」のモデルになった伝説の自衛官が語る新しい戦略論。
書籍ランキング(若手)1~5位まで掲載
※新入社員~20代の若手ビジネスパーソンにおすすめしたい作品。
1位『マジ文章書けないんだけど』(大和書房)
文章の苦手な人は必見。日本で一番やさしい文章術の本。就活生必読。
2位『群れない。ケンブリッジで学んだ成功をつかむ世界共通の方法』(秀和システム)
考えていることを実際の行動に落とし込むにはどうすればいいか。偏差値30台から同志社大を経て、ケンブリッジを修了した著者だから解説できる思考術。
3位『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』 (明日香出版)
リーダーを対象にしているが、若手の人におすすめしたい。上司の気持ちが理解できる。
4位『結果を出し続けている人が朝やること』(あさ出版)
仕事で成果を出したいのなら早起きをする。そのメカニズムと効能を解説した。
5位『残念ながら、その文章では伝わりません』(大和書房)
伝えることを使命とする著者が書き下ろした。伝わらない文章の傾向が明らかに。
筆者よりお願い
まれに、記事の修正を希望される著者の方がいるが、献本されている以上、制約は受けないものと考えている。記事掲載に際してなんらかの齟齬が生じた場合、以降の掲載は見送っている。この点はご了承いただきたい。出版社の皆さまは、従来どおり献本をお願いしたい。また、お送りする際にはご一報いただければ幸いである。
尾藤克之
コラムニスト