なぜ「賑わい施設と市場移転は密接不可分」なのか

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

日曜日にオンエアの「ビートたけしのTVタックル」に出演させていただきました。テーマは東京五輪、市場移転など都政の重要課題全般について。

https://twitter.com/necoodisan/status/939742823611371520

 

ここで議論になった「賑わい施設(千客万来施設)と市場移転」については、とりわけ重要なポイントなのでブログでも取り上げたいと思います。

本来であれば、私ではない方にこうした意見を言ってもらった方が、批判も少なく説得力があるのかもしれませんが…番組では誰も発言がなさそうでしたので、私の方で主張をさせていただきました。

参考過去記事:
「千客万来施設」は、中央卸売市場の成功のために必要不可欠。最重要課題として対応を(2017年7月22日)

http://otokitashun.com/blog/daily/15627/

賑わい施設(千客万来施設)の重要性については以前にも取り上げましたので、本日は「なぜ賑わい施設が『市場とセット』でなければいけないのか?」に絞って解説します。

この部分が正確に理解されていないために、

「どうして江東区は今さら、市場の受け入れに難色を示しているのか?」
「政局に利用しているのではないか?」

という無用な疑問を招くことになっているからです。

そもそも新しく受け入れる側の地域にとっては、中央卸売市場とは必ずしも歓迎できる施設ではありません

市場移転が検討される前には、土地の所有主であった東京ガスを中心として、豊洲地域には様々な都市計画の構想が練られていました。

オフィス街や住宅街が出来たほうが自治体にとっては、人口や税収、あるいは賑わいそのものに直結します。

対して、一般人が買い物するのではない専門施設である市場は、とりわけ築地の賑わいを支える「場外市場」がセットでなければ、自治体・地域住民にとって利益に直結する要素はそれほどありません。

むしろ「早朝から騒音がひどくなる」「渋滞が悪化する」など理由で、残念ながら「迷惑施設」と考える人々が存在することも事実であり、地価が下がってしまう可能性すらあります。

だからこそ、その地に責任を持つ基礎自治体である江東区は、既存の地域住民も納得ができる受入条件として、

「賑わい施設と市場のセット開場」

を求めてきました。周辺住民も気軽に利用できる飲食施設の開設は地域にとってプラスになりますし、お金を落とす宿泊来訪客が増えれば、地元商店街などにもメリットが生じます。

既存の都市計画を取り下げてまで市場を受け入れる側から見れば、これでようやく「トントン」だというわけですね。

そして東京都もその要求を含む3条件を承諾し、市場移転を進めてきた経緯があります。ちなみに3条件とは

1.
汚染対策の実施
2.
交通網の整備(地下鉄の延伸)
3.
賑わい施設の開場

ですが、1番はすでに法令を上回る対策を実施済。2番は長期的な課題であるため、引き続きの検討を進めることで合意がされています。

移転の基本方針発表以降、突然生じてしまった3番の「約束不履行」に対して江東区はその履行を求めているのであり、決して理不尽なことを言っているわけでも、政局で突然に主張をし始めたわけでもないと言えます。

「市場と賑わい施設は別物なのだから、切り離して考えて欲しい」
「日本一の市場が移転するというのに、価値がないように思われるのは遺憾だ!」

という市場関係者のご意見・お気持ちもわかりますし、確かに築地市場は素晴らしい専門価値のある施設だと思います。

とはいえ、立場が変われば価値判断も変わるものであり、巨大な官製施設を作る以上、受け入れる側の意向を無視することは困難です。

様々な議論を重ねた上で、対等な立場である自治体同士が明確に約束し、現在の地域住民もそれを前提として生活設計をしているわけですから、「市場移転と賑わい施設はセット」という条件は確実に履行しなければならないでしょう。

そのためにも先の質問で提示したように、千客万来事業者と直接折衝する・築地再開発について抜本的な見直しを求めるなど、小池知事に対しては引き続き現実的で実行可能な政策提案を行っていきます。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏のブログ2017年12月10日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。