米国の住宅保有率は2016年4~6月期に62.9%と、過去最低を更新してきました。しかし、足元では下げ止まりを確認し、2017年7~9月期には63.9%へ切り返しています。
その原動力と言われているのが、ミレニアル世代。同世代の年齢上限は37歳頃とアラフォーにあたります。結婚して家庭を持っている割合も決して低くなく、子宝に恵まれると同時にマイホーム購入を決断するという昔ながらのパターンを踏襲している公算が大きい。筆者のニューヨーク周辺に住む友人達の間で、結婚や第一子を授かると同時に住宅購入を決断したカップルも少なくありません。“モノより思い出”や“コト消費”に比重が大きい世代とはいえ、住宅は生活に不可欠な有形固定資産であるという認識は、そう簡単に変わるわけではなさそうです。
では、ミレアニアル世代はどこで住宅を購入しているのでしょうか?それを教えてくれる地図が、ここにあります。
(出所:how much)
住宅保有率が高い地域は、やはり比較的価格が手ごろな中西部や南部に集中しています。ミネソタ州ミネアポリス地域(中央価格、Abodo調べ:約22.3万ドル)、ミズーリ州セントルイス(約16.8万ドル)やミシガン州デトロイト地域では40%(約14.8万ドル)を超えました。ちなみに、全米平均での中央価格は18.5万ドルです。以下はトップ10の地域で、%はミレニアル世代の住宅保有率、価格は住宅購入額の中央値となります。
1位:ミネソタ・ウィスコンシン州ミネアポリス・ブルーミングトン 42.4%、22万2,528ドル
2位:ミズーリ州・イリノイ州セントルイス 40.2%、16万7,791ドル
3位:ミシガン州デトロイト・ウォーレン・ディアボーン 40.2%、14万4,804ドル
4位:ケンタッキー州・インディアナ州ルイスビル・ジェファーソンカウンティ 38.5%m15万8,974ドル
5位:ペンシルベニア州ピッツバーグ 37.5% 15万8,974ドル
6位 インディアナ州インディアナポリス・カーメル・アンダーソン 37.4% 16万1,856ドル
7位:ミズーリ州・カンザス州カンザスシティ 37.1% 17万254ドル
8位:テネシー州ナッシュビル・デビッドソン・マーフリースボロ・フランクリン 37.0% 21万3,090ドル
9位:オクラホマ州オクラホマシティ 36.7% 17万2,485ドル
10位 メリーランド州ボルチモア・コロンビア・トゥーソン 36.3% 27万2,805ドル
住宅価格が全米中央値から大きく上方向に乖離する地域では、さすがに低い。ニューヨーク州NYやニュージャージー州周辺は19.8%(米国勢調査局より:50.9万ドル)、カリフォルニア州サンフランシスコ地域(同85.9万ドル)も20.5%でした。
高価格帯の地域は比較的低いとはいえ、全米を見渡すと30%台を確保する地域も多い。米国勢調査局でも、7~9月期は35歳以下の住宅保有率が35.6%と過去と比較するとまだまだ低いレベルながらボトムアウトの兆しがみられます。
税制改革で成長が加速すれば、ミレニアル世代の住宅購入を底上げできるのか、注目です。
(カバー写真:Ted Eytan/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年12月18日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。