米国で信用組合のウェブサイトが訴訟の標的に

三月ほど前に「米国でウェブアクセシビリティ訴訟は増加の一途」という記事をアップした。トランプ政権下で連邦司法省がウェブアクセシビリティ規制に熱心に取り組まなくなったため、障害者が連邦裁判所に直接訴訟を提起するようになったというのが記事の骨子である。

米国では信用組合(Credit Union)に対する集団訴訟も増加しているようだ。信用組合は地域に根差した会員制の小規模金融機関であるが、業界紙Credit Union Timesはこのところ頻繁にウェブアクセシビリティ訴訟を伝えている。

バージニア地方裁判所に提起された信用組合ウェブサイトのアクセシビリティ訴訟は過去4週間で9件から20件以上(少なくとも23件)に増加したそうだ。同じ原告がすべての訴訟を提起したという。訴訟の波はジョージア州に広がり、アトランタとヘイプビルに本拠を置く二つの信用組合も11月15日に提訴されている。

提訴されたFort McPherson Credit Unionのサイト(トップページ)を、総務省が提供するウェブアクセシビリティ診断ツールmiCheckerで検証した。その結果、視覚障害者の利用を想定した場合に7か所「問題あり」となった。具体的には、「Auto Loan Special」が繰り返し読み上げられる、「本文へ移動」などのスキップリンクがない、オブジェクト要素に代替テキストがない、言語の属性が指定されていない、フォントサイズが固定されている、であった。弱視を想定したシミュレーションでは、文字と背景のコントラストが3しかないという指摘が1か所あった。

わが国大手のみずほ銀行のトップページでも東京三菱UFJ銀行でも、視覚でそれぞれ15か所が「問題あり」とされた。米国であれば両行は訴訟対象になっただろう。このように日米を比較すると日本の遅れがよくわかる。