以前に「地域WiMAXなんて発想が悪すぎる」という記事をアップした。宮城県色麻町の失敗についての論評記事だったが、なぜ地域WiMAXが全国で失敗しているのかは知らなかった。12月19日に緊急シンポジウム「電波改革で訪れるビジネスチャンス〜誤解だらけの改革の中身を徹底討論」を開催したが、登壇した真野浩さんの発言で納得した。
真野さんは次のように説明した。
山間の住宅までケーブルを敷設するのはケーブルテレビ事業者にとって大きな負担である。最後の数百メートルを無線でつなげば費用は節約できるし、そのような住宅にもケーブルテレビと共にブロードバンド環境が提供できる。地域WiMAXはこうした用途を想定した固定系の無線システムだった。
しかし、WiMAXは移動通信にも対応する。そこでケーブルテレビ事業者は地域内で使えるポケットWiFiとして地域WiMAXを普及させようとした。問題はサービス提供範囲で、帯広市内、函館市内のようにケーブルテレビ事業者のエリアに限られていた。広く移動できないポケットWiFiの価値は低い。だから加入者数は低迷している。
要約すれば、過疎地へのブロードバンド環境の提供からポケットWiFiにビジネスの目的を変えたことが失敗を招いたという説明だった。それならば解決策は一つしかない。ポケットWiFiが利用できるエリアを市内限定から全国に拡大することだ。
地域WiMAXは廃止して全国WiMAX事業者に事業継続を委ね、ケーブルテレビ事業者は全国WiMAX事業者のMVNOになればよい。
地域WiMAXは2582~2592MHzと10MHzを占拠し、ガードバンドも入れれば専有帯域幅は20MHzに達する。貴重な電波が、20MHzにもわたってほとんど死蔵されているのはもったいない限りである。