忘年会で飲みすぎ、お正月、新年会へと連続する人に朗報

尾藤 克之

怒涛の忘年会シーズンが収束したと思ったら年が明けた。お正月は親族一同が集まり酒を交わす、冬休みが終われば新年会がある。日頃的に「お酒の席」が多い人もいるだろう。気がついたら、野菜や果物はほとんど摂らずに「外食」ばかり。不摂生で夕飯は22時以降という人はいないだろうか。

そんな人に朗報がある。今回紹介するのは、『居酒屋ダイエット』(三笠書房)。著者は、管理栄養士の松田真紀さん。居酒屋こそ、理想的な「ダイエット食堂」だと言ってはばからない。何を食べればいいのか。「今後の人生もお酒とともに歩んでいきたい」と思っている人はぜひ参考にしてもらいたい。

まずは緑茶で体をリフレッシュ

居酒屋でお酒がはいると、ついつい食べすぎてしまうもの。実は、本書では和食のいいとこ取りをした「一酒三菜」メニューを基本として構成されている。お馴染みの定番メニューが、ちょっとした工夫で効果を発揮する。

「夕食を食べる前に熱い緑茶を1杯飲んでください。『緑茶』の一服で、スッキリと爽快な気持ちになります。『朝のお茶は難逃れ』という、ことわざがあるように、緑茶には健康効果が満載です。緑茶はコーヒーと同様のカフェイン飲料。脳の中枢神経を覚醒する効果があります。」(松田さん)

「カフェインは『持久力系サプリメント』の定番。摂取してから運動を行なうと、糖質より先に、筋肉中の脂肪をエネレギー源として燃焼する効果があります。しかも、アルコール代謝を促し、二日酔いを防ぐ『燃焼系ドリンク』でもあるのです。」(同)

夕食を食べる前に「1杯の緑茶」を飲んで、1日の疲れがたまった脳と体をリフレッシュする。これだけで、食べすぎ、飲みすぎを防ぐことができる。さらに漬物も効果が高い。お酒を飲む前に漬物を5切れ食べておく。空腹の状態でアルコールが入ってくると、消化吸収活動を遅らせてしまう。

「お酒を飲む前に漬物を5切れ食べて、お酒から胃腸を守る『バリア食』にするのです。漬物に豊富に含まれる食物繊維の消化吸収スピードは緩やかです。そのため、長時間、胃腸に滞留します。その性質を利用するわけです。漬物の中でも、ぬか漬けは最も効果的です。」(松田さん)

「米ぬかの『こうじ菌』は微生物の中でも強い菌。ぬか漬けは米ぬかに含まれるビタミンBを吸収し、脂肪燃焼効果を強化します。漬物の定番と言えば、きゅうりと大根。きゅうりは、老廃物の排出効果の高いカリウムが豊富で、大根は、ジアスターゼという酵素が消化を促進します。」(同)

次は理想的な食べ方になる。飲み始めてから約30分で、血中アルコール濃度がピークになる。食べ過ぎない、飲みすぎないためには、席についてから、30分以内に注文を済ませたほうがいいだろう。酔う前に注文を済ませておけば安心だ。

1回の食事は90分がベスト

「1回の食事時間を90分にするのがコツです。脳の集中力の限界が90分サイクルで、胃腸の働きも同じです。最初の30分で1杯目を味わい、残り60分で、食事を味わいながら、お酒を、白湯と一緒に楽しみましょう。夜は代謝が落ちるので『もの足りない』くらいがベストです。」(松田さん)

「さらに、『休肝日の夕食』には、玄米おにぎり、日本そば、全粒粉パンなど『茶色い炭水化物』を摂ることもおすすめします。この『茶色い』部分こそ、ダイエットに有効な栄養素の宝庫。ビタミンB群は、エネルギーを生み出すときに必要で、不足すると代謝が悪くなり、太りやすくなります。」(同)

ビタミンB群は、アルコール分解で大量消費されるため、お酒を飲む日に備えて、しっかり蓄えておきたい栄養素とのことだ。覚えておきたい。

本書が興味深い点は、居酒屋の老舗「養老乃瀧」グループの協力を得て、実際に各店舗で提供をされているメニューをもとに、「やせ飯」を紹介している点にある。本書で学んだエッセンスを他店で流用しても同じような効果が得られるだろう。少しでも興味がわいたら、今夜の1杯目からはじめてはいかがだろうか。

尾藤克之
コラムニスト