「障害者」という個人は存在しない

前回書いたブログが転載されました。それを受けて、あらためて。

障害者と接するにあたって困惑する人は多い。

「助けたらいいのか、放っておいたらいいのか、励ましたらいいのか、同情したらいいのか。障害者って、よくわからん」

困惑する気持ちも、わからなくはない。でも、よく考えてみれば「障害者」なんていう個人は存在しないのだから、そりゃ助けてほしい人も、放っておいてほしい人も、励ましてほしい人も、同情してほしい人もいるでしょうよ。

だからね、そもそも「障害者とはどのように接したらいいのか」という発想自体が間違っていると思うんです。いまあなたの目の前にいる相手が何を望んでいて、どう接してほしいのか。それを探ってほしいんです。健常者が相手だと、みんなそれを自然にやっているじゃないですか。

それに加えて。

「乙武さんがこう言ってるから、他の障害者もこうなのだろう」といった発想も、それこそ愚の骨頂なのでやめてほしい。メディアはもっと私以外の障害者の声を積極的に拾いに行くべきだと思う。ホント、いろんな考え方の人がいるから。長らく続いてきた“乙武一極集中”状態はちっとも健全ではないし、多様性がない。

今回、こうしてあもりさんの声がブログに載って多くのみなさんに届いたことは、本当に良かったと思う。同情してほしい障害者がいたって、いいじゃない。あもりさんにはこれからも発信を続けてほしいし、他の障害者の方にもガンガン発信してほしい。そして、みなさんには、ぜひともそうした声に耳を傾けてほしいな、と。

え、ちなみに乙武さんはどうしてほしいのかって? いままでは放っておいてほしかったけど、一昨年の“ある時期”からは、みなさんからの励ましの声が欲しくて仕方ありません(笑)。


編集部より:この記事は、乙武洋匡氏のオフィシャルブログ 2018年1月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は乙武洋匡オフィシャルサイトをご覧ください。