18歳投票率1位は山形。低投票率の指摘より改善策を

18歳投票率衆院選は▲3.4P、1位は山形県、2位は山梨県、3位は新潟県

2017年末に、7月に実施された第48回衆議院議員総選挙年齢別投票者数調として、各都道府県別の18歳19歳の投票率の全数調査結果なども公表されました。

18歳選挙権実現後初となった2016年の参議院議員選挙の際との比較で見ると、全世代の投票率は54.7%から53.7%へと▲1.0Pだったのに対して、18歳投票率は全国平均51.3%から47.9%へと▲3.4Pも下がってしまった事は、18歳選挙権を一時のブームにしないためにも大きな課題と言えそうです。

衆議院選挙では初の18歳選挙となったこの第48回衆議院議員選挙において、18歳の投票率が最も高かったのは山形県の58.3%でした。

全国平均47.9%との比較で10%以上高いという結果です。
2位は山梨県の57.6%、3位は新潟県の56.7%、4位は岩手県の55.4%、5位は長野県の55.2%…と東北の県など地方の自治体が多く並びました。

21位の東京都の49.2%まで1都3県の自治体が1つも出て来ない事が大きな特徴と言えます。
2016年の参院選の際には上位が、東京都、神奈川県、愛知県、奈良県、埼玉県…だった事と比較するとその違いは顕著です。

19歳投票率が問題視されるが、上位は参院選と変わらず愛知・東京・神奈川

18歳選挙権実現による新たな課題として、18歳投票率が一定の高さを示せた一方で、19歳の投票率が低い事が指摘されています。

2016年の参院選の際には18歳投票率51.3%に対して19歳投票率42.3%とその差は▲9.0Pでしたが、2017年の衆院選では18歳投票率47.9%に対して19歳投票率33.3%とその差は▲14.6Pにまで広がってしまいました。

こうした中、注目したい事がいくつかあります。

1つ目は19歳投票率が高かった自治体です。
19歳投票率がトップだったのは40.9%の愛知県、2位は39.7%だった東京都、3位は38.6%だった神奈川県です。
愛知県は、19歳投票率のほか10代投票率でも2位、全世代の投票率と18歳投票率の差の少なさも1位、全世代の投票率と19歳投票率の差の少なさも3位、全世代の投票率と10代投票率の差の少なさも1位と、今回作成した数字のほとんどが上位に位置付けられました。

19歳の投票率が高かった東京都や神奈川県も同様に全体的に上位に位置付けられています。
2016年の参院選のデータと見比べてみると、参院選挙時にはこの3都県が18歳投票率も19歳投票率もトップ3だった事が分かります。

今回の衆院選では18歳投票率の高い件は大きく入れ替わったものの、19歳投票率は参院選の時と全く変わらずに都市部の自治体が高いという事が見えてきます。

むしろこの19歳の低投票率問題解消のヒントの一つがこうした自治体の取り組みなどに見えてくるものがあるのかもしれません。

参院選から投票率が伸びたのは18歳が高知、19歳の減少幅最小は熊本

もう1つ注目したのが、参議院選から衆議院選で投票率が伸びた自治体です。
参院選から衆院選で18歳投票率が伸びた自治体は意外にも半数以上の26もあり、最も18歳投票率が上がったのが+8.7Pの高知県だった。

2位は本当に僅差で+8.7Pの新潟県、3位は+8.3Pの長崎県と続きました。
逆に最も東保湯率が下がったのが▲13.0Pの東京都でした。

19歳投票率は18歳投票率と異なり、参院選から衆院選に向けて投票率が伸びた自治体は1つもありませんでした。
この事自体に大きな課題を感じます。

ちなみに19歳投票率の減少が最も少なかったのは、熊本県の▲0.9P、次いで北海道の▲2.1P、高知県の▲2.9%でした。
最も低下したのは、こちらも東京都で▲14.1Pでした。

こうした点からも各自治体でどのような取り組みをやってきた結果などは、今回の数字では見れない検証を行って行く必要を感じます。

調査し評価すべきは、年代別投票率の上下ではなく、何をやった事で上下したか

今回の衆院選の年代別投票率が公表された事で、マスコミは一斉に「18歳投票率が下がった」「19歳投票率が低かった」と報道しているが、重要なのは、むしろ「18歳選挙権」が実現してからこれまでに「何をやってきたのか」「何ができたのか」という事と、今回、衆参の別は置いておいて比較できる数字がようやく出ました。
自治体における様々な違いも出てくる中で、それぞれの自治体レベルで行なってきた「何に効果があったのか」を検証し、効果が見出せるものをより発展させると共に、全国に広げて行くべきなのではないかと思います。

私自身も昨年11月に市川市長選挙に出馬をしましたが、投票率は30.8%と極めて低いものでした。

まだ世代別の投票率などは公開されていませんが、こうしたデータについて、地方選挙においても同様に検証して行く必要を強く感じます。

 

図表1: 18歳19歳投票率等(2017年衆議院総選挙)

 

図表2: 18歳19歳投票率等(2016年参議院選挙)

 

図表3: 18歳19歳投票率等(2017年衆議院総選挙と2016年参議院選挙の比較)