世界初!水素燃料電池 LUNA SEAコンサートが何故⑨(完)

「新・水素燃料電池LUNA SEAコンサート完成版が開催!」

2017年5月29日に「世界初!水素燃料電池LUNASEAコンサート」が武道館で開催され、興奮が冷めない頃、実行委員会「Team Hydro」の反省会では、12月23日・24日に行われるコンサートを「新・水素燃料電池LUNA SEAコンサート完成版」と位置づけようと誓いをたてたのです。

半年を切る状況下で、何処まで出来るのか、何が出来るのか、具体的な検討に入りました。コンサートを通じで、地球環境を考え、水素エネルギー社会に関心を持ってもらいたい。「Team Hydro」の思いは立場は異なれど皆同じなのです。

前回はSUGIZOのギターアンプと物販の野外テント照明を水素燃料電池からの電気でまかないました。再生可能エネルギーからつくられたCO2フリー水素を使い、燃料電池で酸素と結合させ電気をおこす。その電気をギターの演奏に使った結果は「最高にクリアな音」と評価をされたのです。その上で12月のコンサートはどうするか、SUGIZOとLUNASEAメンバーとの話し合いが行われました。話し合いの結果、SUGIZOのギターに加え、RYUICHIのボーカルマイク、INORANのギター、Jのベース、真矢のドラム、LUNASEA全てのアンプに水素燃料電池でつくられた電気を使うという事になったのです。これで、正に水素燃料電池コンサート完成版と言っても過言ではなくなりました。

LUNASEA全体の楽器を水素燃料電池からの電気でまかなうということは、失敗したらコンサートが成り立たないということです。このコンサートも武道館同様にトヨタMIRAI、ホンダクラリティの2種類のFCVに搭載されている水素燃料電池で電気をつくることになりました。自動車会社であるトヨタ、ホンダにとって、コンサートの主体になるわけで、相当なプレッシャーになったものと思います。もしかすると自動車レースより緊張感を持ったかもしれません。特にトヨタは前回の武道館コンサートでは屋外物販会場の照明用電気をMIRAIで供給していて、楽器のアンプには使っていなかったのです。

今回のコンサートは埼玉県庁にも協力頂きました。埼玉県庁にはホンダの太陽光発電から水素をつくり供給するSHSが設置され、外部給電器、クラリティが納入されています。さいたまスーパーアリーナ正面入り口には、痛車となったトヨタMIRAI、ホンダクラリティ、水素社会に関するパネルが展示され、埼玉県庁職員が説明員として協力してくれたのです。埼玉県の水素社会に対する思いは本気ということです。

実際にアンプ用電気を供給するためのFCVは、それぞれ予備車1台づつを含めてバックヤードにMIRAI2台、クラリティ3台が運び込まれました。1台のMIRAIからRYUICHIのボーカルマイク、INORANのギター。1台のクラリティからJのベース、真矢のドラム。もう1台のクラリティ(太陽光発電からのCO2フリー水素以外の水素を入れたことがないクラリティ)からSUGIZOのギターという利用形態で、2日間のコンサートとリハーサルでFCVの水素は半分強くらいの使用量です。環境を意識し、本物の音を提供する「水素燃料電池コンサート」はFCV数台で十分まかなえるのです。将来、これが当たり前のコンサートになることを望んでいます。

正面入り口とバックヤードの視察を終えて、いよいよコンサートです。関係者用のバルコニールームに案内されて待っていると部屋にシャンパンが運び込まれてきたのです。するとLUNASEAの会社のSさんから「今日はYOSHIKIが一緒ですが良いですか?」と。「もちろん良いです」と。SUGIZOはX JAPANのギターリストでもあり、仲間のコンサートを見に来たということなのでしょう。そして、水素燃料電池コンサートの完成度を聴きに来たということでもあります。コンサートの合間には、YOSIKIと水素社会についていろいろ語りました。FCVとEVとの関係、水素発電の必要性、水素が医療や健康にも使われていること等、そして世界に1つしかない水素調理レストラン「リベロ」に一緒に行こうと誘いました。発信力のある人が一人でも多く、水素社会の必要性について理解し、発言してくれることは大切です。X JAPANのコンサートも水素燃料電池で行われることを望みます。

前回の武道館では、コンサートの最中にSUGIZOが水素について話してくれるかどうか心配でドキドキしていましたが、今回はその心配をしていません。忘れずに必ず語ると確信していたからです。そして、その時がきました。SUGIZO「水素から最高にクリアな音を提供出来ている。こうした水素によるコンサートが当たり前の時代になる」と。ファンからも大きな拍手が沸き起こり、準備にあたった「Team Hydro」のメンバーもこれで安どのため息が出たことでしょう。そして、あっという間にクリスマスイブに行われた「新・水素燃料電池コンサート完成版」も終了することになるのです。新しい曲、思いで深い曲、多くの曲が演奏され感動を与えたはずです。その中で僕のベストは、やはり「I For You」。今後の人生で、この曲を聴くと「水素燃料電池コンサート」を思い出すことになるはずです。

このシリーズブログ「世界初!水素燃料電池 LUNA SEAコンサートが何故」は今回で終わりとなります。安心で環境の良い世界を次世代に届けるのは簡単ではありません。CO2を削減していくためにエネルギーの質を変えていかなければなりません。水素エネルギー社会をつくりあげるには、まだいくつものハードルを越えなくてはなりません。そのためには、一人一人の理解、世界中の人の理解が何よりも大切です。今後も理解促進のために何でもやっていきたいと思っています。LUNA SEAのメンバー、「Team Hydro」に感謝します。そして環境を大切にする思いが結束した事実は歴史に残るはずです。

次は欧州に水素社会を伝えるために、英国ウェンブリー・スタジアムでU2のコンサートをやりたい。ボノどうですか?


編集部より:この記事は元内閣府副大臣、前衆議院議員、福田峰之氏のブログ 2018年1月16日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。